7 TS露出狂、新たな出会いでもネタ枠は譲らない模様
※
「さぁーて、何しようかなぁ………」
ゲートに飛び込んだはいいものの、対して作戦を考えていなかったわたし。
「メイド服着て悩殺するぞォ!!」と走り出す
「適度に露出できて合法的に人を襲える場所とかないかなぁ………」
脳内の欲を全て叶えてくれる施設を探し、ショッピングモールの掲示板を見漁っていると…………面白そうなものがあった。
「ふひひひひ…………」
《今日は催眠とか掛けてないからね?その露出欲と性欲は君自身のモノだからね?どうなっても知らないよ?後からわらわに責任転嫁すんなよ?》
はやる気持ちと揺れる胸を抑えながら、わたしは駆け出した―――
◇
『というわけで、
最後の出場は…………え?マジで?いいんすか?いいんですね??
………じゃあ、入場してください』
「どどんがどんどんどん!!!わたしが来た!!わたしの美を拝んで!!」
『…………いまや時の人、歩くネットのおもちゃ、魔法少女のリカさんです』
ってな訳で、お昼の番組「Chillナンデス」の生放送がやってたので、飛び入り参加しました。
ホントは参加締め切ってたらしいんだけど、シーシャ吸ってチルってるプロデューサーに色仕掛けしたら余裕で許可してくれた。仕事しろ。
………あと、何故かこの商業施設で他局の収録も同時にやってたけど、
「あぁ………みんながわたしのこと見てる………すてき………♡」
『リカ選手、恍惚の表情をしています。お昼の放送で流していいんでしょうか』
「帰れー!!」
「「「もっと見せろー!!!」」」
『なんで拒否感より歓迎の方が多いんでしょうか?日本は狂っているんでしょうか?』
「よーし!お言葉に甘えてもっと見せちゃうゾ♡」
『リカ選手、軍服を脱いで水着になりました。秋空に素肌が晒されています。季節を考えられないバカが産まれています』
「さっむ!!!」
『ざまぁみろ』
「「「俺たちがあっためるんだ!ふー!!」」」
『オタクたちによる温風が吹き荒れています。気持ち悪いことこの上ありません』
「ありがとー!!わたしもお返しにご奉仕しちゃうよ♡」
『グラビアアイドルみたいなことしていますが、中身は痴女です。お前の笑顔じゃ誰も救えねぇよ』
「審査員さんにもご奉仕しちゃうゾ☆」
『審査員の若手俳優たちに露骨なアピールをしています。きっとガチ恋ファンの手で炎上することでしょう』
「ほらほら、わたしのすべすべお肌に触ってごらん〜」
『女優さんにアピっても無駄です。どうせ裏垢で叩かれることでしょう』
「「「うーん、優勝!www」」」
『………ねぇ私この番組降りていい?』
そんな訳で、なんか秒で優勝できました。ふぉー!
副賞として商品券も貰えちゃった。ラッキー!
「これが………わたしという人間の魅力………!!」
『思い上がんな』
「………さっきからいちいちうるさいね。わたしから愛のご指導しないとなぁ………」
『―――ッ!?身体を拘束された!?』
ちゅどーん!!!
「愛の炎に抱かれて消えろッ!!」
『なんで私だけ物理的に攻撃してくるんだよぉ!?』
きたねぇ花火も上がったことだし、そろそろ帰ろうかなぁ。だいいち今現在進行系で授業サボってるしね。
「待ちなッ!!」
………なんて思っていると、乱入者が現れた。
「あなたは…………」
ステージ袖から上がってきたのは、全身をスーツ………というか結婚式で着てそうなタキシードにドレスアップした男。
胡散臭い髪型に胡散臭い眼鏡をかけた、非常に胡散臭い男がいた。
「―――オレは………正義のヒーロー、
漫画の表紙みたいな奇っ怪な後ろ反りをして、にやり………いやニチャァと笑う胡散臭い男。
「デカパイドスケベ薄幸銀髪美少女………いやリカ………!!俺のモノになれよ………!!」
腰がポキポキ鳴っているのを必死に我慢している高坂リョーマ。見てるこっちが痛い。
「どうだ………?最高の提案だろ………??男が大好きな君のことじゃないか………!?」
そんな彼の文字通り命を懸けたプロポーズに、ドスケベ淫乱ピンクことわたしは。
「―――きっしょwww」
全っ然、1ミリも、興奮できませんでした……。
いやそりゃそうじゃない?襲いたいとかちゅーしたいより『イタい』が来るんだよ?蛙化現象だよ??わたしだって最低限の分別はあるよ!
「なんで………!?天才的なアイドル様の俺なのに……!?」
それに対し、絶望して空を仰ぐ高坂リョーマ。
「あークソクソクソ!お高く止まりやがってこのクソビ◯チが!!ヒーローを襲う癖に俺には興味ねぇってか!?あーもう最悪だよ!足の小指ぶつける俺の魔法で仕返ししてやんよ!ああん!?」
さらに、先ほどの胡散臭い顔からゲス顔へと変貌し悪態をつくクズ。
「クズ男とかないわぁ………」
「うるせぇ顔だけのバカ野郎!!お前のグッズ全部買い占めて転売ヤーになってやんよ!!そんでそのクレームは全部お前に行くようにしてやる!!炎上しろ!!」
「こんな人に露出する意味とか感じないんだけど………服着よっと」
「いや服は着るな!!肌をオレに見せてくれ!!」
自分勝手なカスこと高坂リョーマ。
その登場に観客席も湧いたが………どうやらわたしの時とは違うようで。
「入ってくんなカス野郎!!」
「なーにが高坂リョーマだ!!お前の本名は春日太郎だろうが!!」
「体力だけのカスが!!所詮お前はネタ枠なんじゃい!!」
…………罵声の嵐である。どう見ても舐められている。かわいそ。わたしとは違うねっ☆
「やーい、ネットのおもちゃさん♡」
「お前に言われたくねぇよ!?」
思えばさっきからこの春日太郎、顔芸が止まらない。そりゃネットのおもちゃだよ。
「バーカ!あーほ!脳内ドピンク―――げほおッ!?」
しかし、春日太郎はわたしへのディスを途中で止めた、いや止められた。
その理由は、後ろに居るピンクの縦ロール。ドレス姿で顔面平手打ちを喰らわせていたのである。
「おい!!エリザベスちゃんだぞ!!」
「ザベス、キター!!!」
「春日はエリザベスを召喚するための生贄に過ぎない」
「美少女2人を拝めるとか眼福かな?」
「両方人格終わってるけどな……」
観客一同が歓声を上げる中。
当のお嬢様は言い放った―――
「新進気鋭のコンテンツを敵に回すのはよろしくないですわよ!?いいですか太郎、こういう相手は利用してなんぼですの!!仲良くして骨の髄まで利用させていただいた後に、罠でもなんでも使って踏み台にするのですわ!!おーっほっほ!!」
―――おおよそお嬢様らしくない、ゲスな言葉を。
「クズすぎるわ!!」
「最高!!」
「ノルマ達成」
そんな言葉を聞き、わたしは全身が震える。
「おい何言ってんだよお前!?リカちゃんキレてんじゃねぇか!?」
「いやキレさせたのは太郎ではなくて!?わたくしに責任転嫁するのはやめてくださいまし!!」
「そもそも一般庶民がお嬢様言葉使うんじゃねぇよ!?本名馬場信子だろうが!!身の丈にあった生き方しろよ!!」
「それはわたくしの言葉ですわ!!何ですかさっきの三流ホストみたいな演技!吐き気がしましたわ!!クサすぎて鼻がもげますわ!!」
「やかましいわ!!」
2人の夫婦漫才はほぼ意識の外へ。
わたしは感覚を研ぎ澄まし、2人のもとへ目にも止まらぬ速さで接近する。
「うっわヤバいぞお前!?後ろにリカちゃん居るぞ!!」
「激ヤバですわ!!終わりましたわ!!じゆヒスにライバル宣言する前に死亡宣告喰らいますわ!!」
「そん時は海に投げ捨ててやるよ」
「ちゃんと弔ってくださいまし………」
そしてわたしはエリザベスの背後を取ると。
「南無…………」
「来世はホットケーキに生まれ変わりますわ………」
ドレスを着た身体へと腕を回し。
「クズ女さいこう…………♡わたしエリザベスみたいな性格終わってる女の子大好きなの………!!ちゃんとわたしの愛受け止めてね…………!!んちゅー!!」
―――その唇に、これまで最長のディープキスをかました。
「…………!!!!」
「ほんとすき……♡クズさを自覚してるけど治そうとしない、むしろできないその脆さが好き♡それで他人に迷惑かけて平然とした顔してるのに、実はちょっぴり罪悪感感じてるのすき♡名声と権威に溺れたゴミカス♡」
「ちょっと待ちなさいな!わたくしの思考を読み取らないでくださいます!?」
「わたし、クズな女の子に目がないんだよね………冷静に考えたらユキさんも相当なクズ女だよね、ああいう愛欲に塗れたクズも好き♡」
「オレは!?オレもクズだよ!?」
「クズ男は専門外です。死ね。男は清純派に限る」
「酷くね!?」
「やーい、言われてやんのー!ですわ!」
「お前もクズ女認定されてるけどな!!そういうところだけどな!!」
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