現代少女タイムスリップ物語

能依 小豆

第1話 眼鏡ヒロインはかぐや姫⁉︎①

 いまは昔、竹取のおきなといもの有けり。 野山にまじりて竹を取りつつ、よろづの事に使けり。 名をば、さぬきのみやつことなける。 その竹の中に、もと光る竹な一筋ありける。 あやしがりて寄りて見るに、筒の中光りたり。 それを見れば、三寸ばかりなる人いとうつくしうてたり。


——これは実際にはいなかったのかもしれないかぐや姫のお話だ。


翁は竹の中の娘が見慣れないものを顔に掛けていることに気がついた。しかし、翁はとりあえず、と自分の家へと帰って行った。

 竹の中より拾った娘は「輝夜」と名付け翁とおうなは可愛がった。輝夜はみるみ立派な美しい女性へと成長した。ちょうどよい、と翁と嫗は輝夜に問うた。

「愛しい輝夜よ。お主の掛けているその透明なものはなんなのかのぉ。」

輝夜は“眼鏡”に手をそっと添えておっとりとした口調で話した。

「おじいさんや、これは眼鏡というものです。私の眼鏡は特別なものですが、この時代にはないのですか?」

「メガネ…?ワシらにはわからないものじゃのぉ。ワシらも輝夜のおかげでこの国有数の富豪になったものじゃが知らないことは多いのぉ。ばあさんは知っとったか?」

「いいかいあんた、あんたの方が外に出てるんだからあんたに知らないことは私は知りませんのよ。ねぇ輝夜ちゃん。」

そういうと、嫗はせっせと夕飯の準備に取り掛かってしまった。

「おじいさん、ここだけの話、私は眼鏡を掛ける必要はないのです。ですが私のいた時代ではこれがオシャレとされていたのです。」

「オシャレ……?なんともわからない単語じゃのぉ。それより輝夜、今其方は私のいた時代と言ったか、輝夜は別の時代から来たのかのぉ。」

「ええ、私は……

——スタスタ、「翁、帝がお見えになりました。」

「み、帝じゃと……!用件はなんじゃ?」

「どうやら輝夜たん狙いようです。」

「先の五人といい、帝といい、うちの輝夜に手を出そうとしよって……!」

「まぁまぁ、おじいさん、とりあえずその帝という人と会わせていただけませんか。」

「うむ、帝の命であるならば仕方があるまい。行こうか、輝夜。」

「はい。おじいさん。」





〜〜〜

第2話は4/2午前7:30に公開します。

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