パンの袋を閉めるヤツが無かったらパンはどうなるのだろうか?

竎華

第1話 ドッチボールでどうやって長時間のタイマンになるのだろうか

20○○年という存在の違和感が薄れていくと同時、日本はとある実験のための学園をつくった。

日本の経済、防衛、軍事など、様々な力の成長のため、数多なる優秀な存在を生み出し、その者達の内、特に優秀な数名を指導者にまわす。その指導者が育てた者達を次の指導者にまわす。この繰り返しを継続させたら実験は成功。何らかのイレギュラーによって継続不可能となれば失敗。これが日本が行っている実験。

数年の間実験を続けているが、現在まで成功を収めている。

実際、学園に入り、卒業した者の多くは日本を成長させ、世界問題の解決に大きく役立っている者が多い。

この学校がある事による問題も多数あるが、

学園は変わりなく継続し続ける。

表向きは公立の中高一貫校ということになっているため、学生で学校のことを深く知るのは受験者と在校生のみとなっている









などの、頭悪い前置きはさておき、そんな学園は、4月10日に入学式を迎える。

バスを使って学園に到着した者が多く、何人もの人間がバスから出て、レンガで造られた上心半円アーチと鉄柵で形成された門を通る。

しかし、ただ1人、門の前で立ち止まり。なかなか通ろうとしない者がいた。

門の周りには桜が散り、まさに入学式といったような雰囲気が出ている。

白い肩ほどまである髪をなびかせ、蒼い目を閉じる。

大きく息を吸い、口を開く。


「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

「「「「え?」」」」


興奮からか門の前で叫んでしまい、なかなかの注目を集める。


(やってしまった……………)


有り得ないほど短い時間だった入学式。

体育館で行われ、校長がちょっと喋って終了。

その後は体育館に張り出されたクラス分けの表を見て自分のクラスを探し、教室へ向かうという流れだ。


(見学会的な時には緊張であんま考えなかったけど、この学園ってマジで広いな…生徒数に合った広さじゃない…)


1年次の教室が並ぶ廊下を歩きながらそんな事を考え、白い髪の男は教室に着き、スライド式の扉を開けて自分の名前が書いてある紙が置いてある席を探し、カバンを机の横に掛けて椅子に座る。

男の席は教室を上から見て1番廊下側の後ろ端。

男の先程の奇行は同じクラスになった者は知らないような雰囲気があった為、男はほっと息を吐く。


(よかった…!このクラスの人はさっきのを見てないっぽい…!)


男が席に座って5分ほど経った時、男の隣の席に座っていた紫髪の女が声を零す。


「あっ」

(ん?)


その声を聞いた男が女の方を向いたと同時。


「あの門の前で叫んでた人だ!!」


一気にクラスの者達の視線が女と男の方に向かう。

その後は全員が男の方に集中した。


(見てた人いたーー…取り敢えず誤魔化せるかどうか試してみるか…)

「叫んでた人?人違いじゃない?」


男は少し目を逸らし、何となくで思いついた即席の言葉を言う。


「いや絶対叫んでた人だね!間違いない!」


誤魔化すことはできないようだ。


「あれ見てほんと驚いたんだよね…初めまして!私は紫音しおんっていいます!よろしくね!」|

(お?案外仲良くなれそう?)


そう思った男は、紫音に自分の名前を言う。


「僕は竎華です!よろしく!」


これ以上に無いほど簡単な挨拶を竎華と紫音が済ませると、

教室の黒板側のスライド扉が開き、一人誰かが入ってきた。その人物は…


「全員いるかー?…よしっ揃っているようだな」

(おっ…担任か?担任はどんな人何d…は?)


竎華が教卓の方に視線を向けると、そこに居たのは

担任のはずの人間。その人物は全身黒タイツで教室に入ってきた。


(名探偵コ○ンじゃねぇか…)

「私がどんな人間かとか話してる時間は無くなってしまったようだから、今日これからやることを説明する。」


担任は少し間を開け、教卓に両手を置き、これから行われることについて話し始めた。


「これから、2〜6年次、まあほぼ6年次主催のレクがある。格好は制服のままでいいので、校庭に集合するように」


犯人的担任は話を終えると教室を出て校庭に行くよう促し、何処かに行った。

それを見た生徒は続々と立ち上がり、教室を出ていく。


(レクか…何すんだ?)







レクの内容は、ドッチボール。

レクの中では割と定番だと思われる球技。

2〜6年次を含め、何個かのチームを作り、

1チームvs1チームの戦い。

内野は1年次がほとんど。外野に行く1年次は一人だけというルール。2〜6年次が少し多めのチームもあるが、それでも内野は1年次が多くなるよう設定されている。

内野の1年次を多くし、外野は2〜6年次を多くするといっても外野はどのチームも最高4人のため、不参加の者も多いようだ。

「どのチームも外野決まったかな?…それじゃぁはじめ!」


6年次がそう合図すると、一斉に皆が動き出し、

ボールのぶつけ合いを始めた。






((なにこれ…どうなってんの?))


竎華と紫音は、同時に同じことを思った。

その理由は、現在のドッチボールの状況にある。

校庭の至る所から轟音が聞こえる。

1年次は全員ボールに当たり、外野に行った。

竎華は元から外野だった為、ほとんど何も起こらなかったが。他の1年次は全員地面にしゃがみこんで立とうとしない。

紫音はなんとか衝撃を上手く逃がすことができ、怪我はない。

なぜそんな事になっているかと言うと…


4年次1人と5年次1人のタイマンドッチボールになっているからだ。


2年次、3年次は1年次と同じく全滅。

どこのチームも同じようになっているが、ここは特に酷い事になっている

6年次は殆どが主催で参加してる人は少ないが、

6年次が居なくてもとんでもない状況である。

轟音が響き続け、ボールがこれを耐えてるのも不思議なレベルである。

黄髪の4年次と黒髪の5年次のタイマン。

何故か本人たちは黙々とボールを投げ続けている。

明らかに状況がおかしいため、

竎華は6年次に話をしに行く。


「あの2人どうなってるんですか!?おかしいですよ!開始数分でああなりましたよ!?」

「あれは…毎年恒例だから…w」

「毎年…恒例!?」

「あの黄髪の子が入学してから毎年あの2人はあんな感じだね…w混ざりt…止めるタイミングが分かんなくて大変だよ…」


どうやら毎年恒例のようだ。

竎華はぽかんとした様子で6年次の前に立ち尽くしてしまった。

そこで…

轟音が止んだ。

しかしそこにいる2人にボールが当たった様子は無い。

どうやら片方が外したようだ。


「あれ?ボールどこいった?」


黒髪の5年次がそう呟くと、しれっと紫音がボールを持ち、黄髪の4年次にボールを当てる。


「え?」

「そこまでー!」


6年次の終了の合図だ。

約30分にも渡るタイマンドッチボールは、

ようやく終わりを告げた。

6年次が各マッチの勝利チームを発表していくが、

ほとんどの1〜3年次は全員そんなの聞く余裕もなく

座り込んだままである。


「クソゲーじゃねぇか…」


竎華はそう呟き、大きく深呼吸をした。

ほとんど動いて無かった竎華も、そのまま地面に倒れてしまった。


「おぉ、珍しいね、いつもは大抵1時間は続くのに。」

「は!?」


6年次の発言に竎華が驚いてる間、

さっきまで有り得ないタイマンドッチボールをしていた2人は、1滴の汗もかかずに何か話ながら移動している。


「レクは終了だ。教室に戻り、荷物を片付け、今日は帰宅しろ。」


おそらく教職の者が、マイクを使ってそう話す。

まともな教師が居ると分かり、竎華は安心し、

教室に戻ろうと移動を開始する。


竎華は教室に戻り、荷物を片付け、家に帰ろうと門を出てバスに乗った。

バスを降りて、歩いて家に向かう。

歩いている途中、近くの公園から轟音が何度も聞こえてきた。

竎華はそれが気になり、公園に向かう。

公園について、竎華はその轟音の原因を発見する。


そこには、先程タイマンドッチボールをしていた

2人がいた。

2人がしていたのは、勿論ドッチボール。

学校ではないため、少し静かになっていたが、それでも結構な音がしている。


「マジかよ…」


竎華はその光景に驚きつつも、

特に考えないようにして帰宅した。













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