第40話 アルテさん

ルミナの母親、アルテさんは病気ではなく、呪いがかけられていた。

エリクサーはポーション、薬でしかないので呪いには作用しない。

呪いには聖魔法に属する魔法が効くようだった。

マリアンゲールさんが聖職者系ヒーラーでよかった。

幸い休日なので朝から顔を出せば、眠っているアルテさんとその横でベッドにもたれかかって寝るルミナちゃん。

物音に気付いたのか、アルテさんが目を覚ます。


「ああ、コルクラニアさん!二度もお手を煩わせてしまって……」

「ちょっと。大声はお体に障りますよ。」


しばらく世間話をして、本題へ移る。


「それで、あなたには呪いがかけられていたようなんですが、心当たりみたいなものってありますか?」

「それは……」


数秒間黙ってから言った。


「私が少なからず王家の血を継いでいるからでしょう。」


はい??今なんて言った?


「私は先代の王が若いころ、町娘に仕込んだ子供です。ですから、王位継承権はあってないようなものですが、やはり名誉を傷つけられるものを持っているというだけで迫害されます。スラム街にいるのも嫌がらせを受けた結果です。」


え、ルミナ家族を救うには王家を叩くしかないってこと?

近衛兵とか絶対僕のレベルの倍はあるって。


「今までありがとうございました。私に構えばあなたも王家に目をつけられてしまいます。ですが、この子だけは、ルミナだけはあなたのところへ置いていただけませんでしょうか。」

「え、無理です。」


かなり衝撃を受け、萎縮しきった様子のアルテさん。


「いや、普通に今日からここがあなた達の部屋です。片方だけとか無理です。」


今度は目を見開いたアルテさん。表情が二転三転しておもしろい。


「ですが!」

「いや、二人ともこの屋敷に引っ越してください。家具はこれから持ってくるんで。」「いえ、そうではなく!王家に狙われてあなたが死んでしまったら!」


プレイヤーなので復活できるとは言えないな。


「しっかり王様脅してきます。大丈夫です。」


ぽかんと呆けた様子だ。


「じゃ、行ってきます。あ、僕の部屋は隣になったんで大丈夫ですよ。」


廊下からエントランスに来ればトリコロールさんが居た。


「ちょっと王様のとこに脅しに行ってきます。」

「……?……!?待て、コルクラニア!」

「?はい。」

「何があったんだ!」

「ルミナとアルテさん絡みです。王家に狙われてるみたいなのでちょっと。」

「投獄されればしばらく街へ出られないぞ!反逆ともなればプレイヤーでも余裕でレイドまでの時間は超える!今じゃなきゃダメか?」

「まあ、早いうちがいいかなって。」

「……そうか。せっかくだから引っ掻き回してこい。ここまで来てもどうとでもなるからな。」

「わかりました。じゃ!」


☆☆☆


場所は変わって王城の真下、壁に覆われたエリア。

ちょうど入っていく人がいるので観察する。


「ん?何だあれ。」


何かカードのようなものを受け取っている。

通行証みたいなものか。

後ろの太った人が受け取り、歩き出すところに空間接続、僕の目の前の空間へと移動させる。


「……?なっ!?ここはどこだ!?」


ガツンッ


鞘に入れた衝牙で失神させた。

通行証を拝借し、服は……サイズが合わないや。


「じゃ、お先に失礼。空間接続。」


天空の王城へと、僕は空間を繋げた。

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