第7話

なんだ、名人。悪い冗談かよ。

名人には十分マージンをやってたつもりだった。

半分。

働いてるのは僕だ。

けど、僕にはもう、お金を使えなかった。

だから、要らない。

名人のおかげだった。

僕は三田村邦彦。

戸籍もなんもない。

そろそろ還暦。

酒で精神的苦痛を誤魔化してやって来たけど、そろそろ役に立たなくなって来た。

「ロートルが、よう稼いだわ。わしの目に狂いはなかった。」

名人の部下が後始末に。

記憶はそこまで。

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