第2話 二通目

子供の頃、貧乏だった。

だからだろうか?

目立つのを、嫌った。

貧乏くじを進んで引いた。

みんなの輪の中に入らなかった。

足元から透明になって行く様に。

気配を消す。

においを、消す。

物音立てずにひっそりと。

だって光を浴びたら暴かれる。

嘘、誤魔化しきれいサッパリ。

乞食の烙印。

金が無いのは怠惰の証。

負けているのは弱さの証。

そうなんだろうか?

わざと、負けた。

何も持たない。

丸腰で生きていたい。

そうだ、昼の星。

僕は太陽の近くにずっとまとわりついて、隠れていよう。

余計なものぜんぶなくなるまで。

それから、夜に現れて、弱く光って探してくれる誰かに見つけてもらうんだ。

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