第24話 アリスの先の事
教会の奥のキッチンテーブルで、夕食後私はグリーンとお茶を飲んでいた。私はこのゆったりとした時間が結構気に入ってたりする。
「アリス、教会の近くに良いテナントが見つかったんだ」
「ああ、えっと治療院を作るって言ってたわね」
「従業員も一人雇う事にしたんだ」
「赤い髪の女の人よね?」
見た感じ20代と言ったところだろうか。赤い髪に三つ編みで、眼鏡をかけていて・・素朴な感じの女性だった。
「計算とか出来るって言ってたし、あと回復魔法も使えるんだって」
グリーンは何だか嬉しそうだ。彼女に期待しているのかもしれない。女性と言ってもただの従業員だろうし・・大丈夫よね。
**
私は、部屋の椅子に座りぼーっとしていた。
「グリーンが教会から出て行く」
「教会の収入が減る」
グリーンのいない教会を想像してみた。何だか寂しい気がする。いや、めっちゃ寂しいかも。近くにお店を作るって言っていたから、会えないという事でも無いのだけど。
「でも、教会のお金が少なくなる・・薬草で何か作ろうかな・・」
裏の庭で採れる薬草で軟膏を作ってお店に置いてもらおうかな。教会の収入が減るのは仕方ないんだけど。考えてみるとグリーンに頼りっぱなしだったみたい。
「そういえば、アース様はお元気かしらね」
ふと思い出した。子供の頃にお世話になった、アース様。今は大出世して大神官になったらしいと聞いている。
「子供の頃、よく遊んでもらったっけ」
感覚的には優しいお兄ちゃんみたいな感じだった。子供の頃の懐かしい思い出。
私は赤ん坊の頃、教会の外に捨てられていて神父様に育てられた。大人になったら、父の様にシスターになるのが当たり前と思っていたのだけど。父は何年も前に亡くなってしまったのだ。
「いっその事、教会辞めてグリーンのお店を手伝った方が楽なのかもしれないわね。私も回復魔法使えたらなぁ。シルビアが羨ましいわ」
「はぁ~」
私は無意識にため息をついていた。欲しいと思っても魔法は得られるものでもない。今手にあるもので、生活していく他は無いのだ。人それぞれ得意不得意があるのだから。
「
まぁ、頑張ってお金を作らなくても、のんびりやっていくというのもある。信者さんがあまり来ない教会はお金は無いが、それでも今までやってこれたのだ。
「少しお休みするくらいが丁度いいのかも」
頑張って、無理をする必要はないのだ。
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