第17話 パトリシアの告白
時間は少し遡る。
ゆさゆさ。不自然な揺れでわたくしは目を覚ました。あれ?ここはどこだろう。視界は暗く遮られている。
思い出した。後ろから男の人に声をかけられて、魔法で眠らされたのだ。ということはわたくしは攫われてしまっているのかもしれない。担がれて移動しているのだろう。
ギィー
ドアの開く音が聞こえた。
眠ったふりをしておこう。わたくしは目を閉じた。
「今回は上玉の娘だ。こいつは高く売れるにちげえねえぜ」
「そうか?お前いつも同じ事言ってるな。早く見せろよ」
下に降ろされる。目を閉じていても光を感じたので出されたようだった。わたくしは床に降ろされた。
「おお~こりゃ・・どこかのお嬢様じゃねえか?お前にしてはいいもん見つけたな」
どうやら人身売買をするつもりらしい。で、でも助けに来てくれるわよね?ロイドも近くにいたはずだし・・。
それから直ぐに声が聞こえた。最近よく聞くグリーンの声だった。
音しか聞こえなかったからよく分からなかったけど、どうやら助けに来てくれたようだ。助かった。何故かロイドじゃなくて、グリーンみたいだけど。
**
わたくしは目を開けた。グリーンに抱きかかえられていたようだった。
「助けてくれたのですか・・有難うございます」
わたくしは抱きかかえられながら、グリーンの顔を見た。
「姫様が、無事で良かったです」
グリーンがホッとした表情でわたくしを見ている。ようやく危機から脱出したのだ。急に、トクンとハートの音が聞こえた。鼓動が早くなっている気がする。わたくしは何故か顔が熱くなっているみたいだった。これってもしかして・・?初めての感情に私は動揺していた。まさか・・でもそんな・・。
*****
「あの・・グリーン実は、お願いがあるのですが・・」
城に戻ってから部屋で帰り支度をしていると、パトリシアは頬を染めて何故かぼくにお願いと言ってきた。お願い?一体何をお願いされるのだろう。パトリシアはもじもじして中々話そうとしない。どうしたのだろう。
「あの、どうかしたのですか?お願いって・・」
「わ、わたくし、こんな気持ち初めてですの!グリーンさえ良ければもうしばらく・・いえ、ずっと一緒にいて欲しいのです・・・」
顔を真っ赤にして、言葉を絞り出すパトリシア。それってどういうこと?
「一緒ってどういう・・」
「わたくしは、グリーン様を好きになってしまったみたいなのです・・」
パトリシアは目を潤ませてぼくを見つめてきた。
「「えええええええええ」」
「えっ?ちょ、ちょっと待って・・」
お、王女様がぼくを好きだって??
「れ、冷静になって下さい。相手は平民ですよ?よくよくお考えになられて・・」
護衛のロイドが
「ロイドは黙ってて!」
王女はぴしゃりと言葉を遮った。
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