第3話 回復魔法の使い道

この世界は回復魔法を使える人が少ないらしい。

聞いたところによると、数人の冒険者か王城か大聖堂くらいだそうだ。

だから通常は、怪我を治すのに薬草か値段の高いポーションを飲むしかない。

教会は裏庭で薬草を育てていて、緊急の時は治療をするらしい。

応急手当みたいな感じらしいけど。なので、ぼくのスキルはかなり貴重だった。


「回復魔法を使えたんですね。驚きました」


「先ほど話してた女神さまのスキルですよ。使ったのは初めてですからね」


「お金取りましょう!」


「はい?」


かくして、ぼくは教会で回復魔法を使って治療をする事になった。


「お金を稼いだ方が豊かになれますよ?」


「確かに・・そうですけど・・」


意外と、アリスさんは物欲主義みたいだ。

アリスさんはぼくの持っていた、聖職者のイメージとだいぶかけ離れていて、質素で慎んで生活してるとばかり思っていたのだ。ぼくの驚いた顔を見て、アリスさんは言った。


「そんな顔しないでください。私も一人の人間なのですから。たまには美味しい物を食べたいんです」


思い込みで人を判断するのは、良くないなと少し反省した。

それにしても、魔法を急に使えるようになったのには驚いた。多分、無尽蔵に使えるわけじゃない気がする。どのくらい使えるのかな?と思っていたら言葉が下りて来た。


「ステータス?」


目の前に文字が表れた。



グリーン 15歳 女神からスキルを貰った人族

スキル 回復魔法 初級レベル1

魔法 ヒール(5)

HP45/50

MP25/30


ヒールが回復魔法の名前らしい。後ろの数字は消費する魔力かな?魔力の量が決まっているみたいだ。他の文字の意味はよく分からないけど・・。


「どうしたんですか?空中を見つめて・・」


「えと、一日5人くらいしか診れないと思う。やりすぎると倒れちゃうかもだし」


「そうなんですね・・」


アリスさんはがっかりしているみたいだ。5人じゃ大した人数でもないし。

お金は一体いくらに設定するのだろう?


「銀貨2枚で。5人治療すれば、10枚になりますね」


銀貨二枚か・・安くは無いけど出せない金額ではない。妥当かもしれないな。


「重傷は断った方が良いかもしれないですね。治せないと困りますからね」


「え?でも、さっきの方けっこう重症でしたけど?」


あれ?そうだったのか?普段怪我人なんて見ないものな。

アリスさんは普段から見慣れているのかもしれない。

限界まで魔法使っても大丈夫かな?一回でだるい感じだけど。


「お金が入ったら、あそこと、ここと修理できますね~」


アリスさんはお金の使い道を考えているみたいだ。だいぶ資金難な教会みたいだな。


「あれ?ぼくの取り分は・・」


「・・えっと、半分こしましょう。つまり銀貨1枚で」


主導権はアリスさんに握られているようだ。

まあでも悪い話ではない。

着の身着のまま出てきてしまったせいで、お金を持っていなかったから。少し稼いでお金を貯めておいた方が良いだろう。

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