全ステイタス1の俺が、この世界を無双する

魔闇

プロローグ 異世界転生

 いつからだろうか。強者と弱者を分け隔てた世界が生まれたのは。それは、平安時代なのだろうか江戸時代なのだろうか、それとも、人類が誕生したときなのか、そんな空気が生まれたからなのだろうか。結局、それは不思議なものだ。


 現在、俺・無廉天羅なすそらは図書室にいる。昼休みになったので、持参した小説を読んでいる。そこにいるのは、図書委員である女子高校生・木佐彩花きさあやかを除いて、俺だけだ。

「この物語面白すぎるだろう!」独り言を呟く。

 あと、数分か……。明日もまた来よう。

「キーコーンカーンコーン」チャイムが部屋を鳴らした。

 もう、終わった。昼休みという天国の時間が。

 彼女は自教室に戻っていった。だが、疑問が浮かんだ。扉の向こうには、彼女の姿がなかったからだ。

 俺は小説を持って、扉の先の世界に飛び込んだときだ。時間の流れが変わったと思えたのは。


 彼女は先に待っていたようだ。別の世界に。

 俺はどんな顔をしているのだろうか。ふと思えた。

「えっ!?」

「ここどこ?」

 俺たちは顔を見合わせた。

 洋風な建物の中にいる。冠を付けた王様らしき同年代の男性と配下らしき男女が数人。その場に立っている。

 突如、俺たちに彼らが頭を下げてきた。

「お待ちしておりました。勇者様方」

「いま、なんて言った?」

「『勇者様方』とお呼びしました」

 なんで勇者と呼ばれるようになったのかは不明だ。

「ゆうしゃさまがた?」

 隣の彼女は王様らしき少年に疑問を抱いているようだ。

「?なぜ疑問を抱いているのだ?」

 きょっとんとした顔を彼から見るとは思わなかった。

「そりゃー勇者様方なんて呼ばれるようなことをしていないからですよ!」

 同学年ぐらいの人に敬語を使うことがあるのだろうか……。いや、ないな!

「なんだ、その言い方は!!陛下に失礼ではないか」

「陛下?あぁーなるほどー。陛下って王様のことだったので・す・ね!!アハハハハ」

「なんだ!!その言い方は!!陛下に笑うなんて身の程をしれ!!」

 横にいた配下は俺のことが気に食わない顔で向いてきた。

「いやー実は……ぷっ、ぷっ、ぷはははは……」

 なぜか、笑いが止まらない。

「コホン」

 王様の咳払いで空気は変わった。

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