19

 私は絵の前を離れて秋の相手をすることにした。(秋はすごく喜んだ)

「絵はこのまま飾っておくから、好きなときに見ていいよ」と私の膝の上に頭を乗せている秋は上機嫌な声でそう言った。

「ありがとう」と私は言う。

 それから秋とおしゃべりをしていると、いつの間にか私の膝の上で秋はよだれを垂らして眠ってしまった。

 着ている制服はよれよれになっているしだらしないと思った。(あの絵の中にいる清らかで清楚な女の子と同じ女の子とは思えないくらいだった)

 足を大きく開いていて、白い太ももが制服のスカートからはみ出して、あらわになっている。(白いシャツもお腹もでている)

 私は秋を起こさないようにして、スカートを直すと、制服の乱れを戻して、それから秋の髪を優しく撫でる。

 窓の外はもう真っ暗になっている。雨はまだ降り続いているようだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る