第二十八話:公家仮面を斬る!
仲間の力を手に入れる為。
ロボの材料と職人等を確保する為。
東の島国ミズホ国を訪れた俺達。
そこで出会ったのは新たな敵。
月の魔王軍の手先、仮面衆。
現地の人と縁を結ぶ流れで訪れた中の都。
都の英雄である花鬼生徒会と友誼を結んだ俺達、聖獣勇者団。
彼等が属する武芸魔術学院に世話になり、装着者を魔物化させる仮面をばら撒いて悪事を働かせ世を乱す仮面衆退治に挑んでいた。
「ふむ、レオン殿の言うように公家の中にも仮面衆はおるやもしれぬ」
「フイゴの山奉行は都で仮面を手に入れたと」
「仮面衆と上の繋ぎ役であるジェスターもこっちに現れたらしい」
「敵の城に攻め込んで大将首を落とせばって、簡単な話じゃないんだな天狗?」
「ダイダイマル殿、マッカ殿と似た考えでございますな?」
「本当に、君達はどこか似てるよね?」
「うむ、赤と橙は近しい色だからな」
スミハル殿と俺、レオンとシンベエ君にダイダイマルの五人で会議。
「いや、話が逸れてるだろ? 確かに俺も大将首を落として終わらせてえなと、楽な事を想いがちだが実際はそうでもねえよな」
「そこも同じ考えかよ天狗、俺達は兄弟か何かか? 盃でも交わすか?」
似たような奴は何処にでもいるらしい。
シンベエ君が書記となり、板張りの会議室で話し合う。
リーダーとサブリーダーの会議と言われて来た。
来てみたらダイダイマルが生徒会の副会長だったのが驚きだった。
「しかし、仮面衆の病巣は何処にあるんだかな」
「大本は取り除かないと都の為にもならないしね」
「それに関しての手がかりは、仮面の公家と言うのがいるらしい」
「天狗が仕置きした辻斬りが吐いた情報だ、奉行所から上がって来た」
俺達の呟きに生徒会側から情報が出てきた。
「何だその公家仮面は、斬られてもおかしくないほどに怪しすぎるだろうに」
「公家仮面は、剣の腕が立つらしい上に術も使えるとの事だ」
「剣の腕の立つ公家、そこから犯人像を絞り込めないかな?」
レオンが話を聞いて意見を述べた。
「達人と言えば、カラスミ卿とカキワラ卿が二大達人として有名だな」
ダイダイマルが答える。
「ふむ、その二人か。 ではマッカ殿、生徒会に伝手があるカラスミ卿をまずは尋ねてみてはいかがかな? 外れであれば力になってくれるやもしれぬ」
「ご指名とあらば、やって見せるぜ」
俺は頷くとシンベエ君が溜息を吐く。
「それでは伯父上に連絡を入れます、拙者がお供いたしましょう」
「シンベエ君、武士じゃなかったのか?」
「家は武家でございますが母は公家の出です、カラスミ卿は母の兄です」
身内の身内だったか、まあ疑いは潰しておこう。
会議を終えて昼、俺はシンベエ殿に案内され北東の貴族屋敷の通りへ赴く。
屋敷の通されると邸内には竹林とか、試し切りの藁とか武闘派な感じの家だった。
「麿がカラスミ中将テルヒロでおじゃる、よくぞ参られた」
「此度はお目通り感謝いたします、マッカ・サンハートと申します」
「お時間を戴きありがとうございます、伯父上」
「シンベエもマッカ殿もかしこまらんで良い、仮面のうつけ共の件であろう」
俺達は広間で礼をすると、カラスミ卿が答える。
カラスミ卿、マッチョな公家だった。
「麿は怪しげな仮面など使わぬ。 ……出て参れ、魔物は臭いでわかりまするぞ!」
卿が叫ぶと同時に屋敷の中に、白い仮面に黒い衣装の忍者達が殴り込んで来た。
「たかが四人か、あなどられたものよ♪」
卿が虚空から太刀を召喚して抜き、襲い来る刺客達を切り捨てる容赦ねえ。
俺もシンベエ君も人任せにせず、刀を召喚して切り倒した。
俺が倒して人に戻した以外の刺客達も、蘇生させて拘束する。
「ほう、蘇生術とは人が良すぎではないか?」
「賊とはいえ、法の裁きは受けさせねばと思いました」
「ふむ、マッカ殿は珍しい方であるなシンベエよ」
「マッカ殿は、仁の方でございますので」
「では、賊共は引き渡すとしよう」
「お手数をおかけいたします」
「何、公家として武士の奴らに仕事をやらねばな♪」
中将の配下の武士達が現れて賊を引き立てて行く。
「カキワラ殿の下に良からぬ者どもが集うと言う噂がある、そちらを当たられよ」
「ありがとうございます、伯父上」
「ありがとうございました」
こうして、剣豪公家の一人から情報を得た俺達は屋敷を出る。
「伯父上の疑いは晴れたのでしょうか?」
「わからんが、敵と手を組まれたら厄介なのはあの中将殿だろう?」
「確かに、ではカキワラ卿の方はどう乗り込みましょうか?」
「わからん、一旦学院へと戻ろう」
俺達は学院へと戻った。
「ご苦労だった、残るはカキワラ卿か?」
「何だか、仮面が無くても強烈な人みたいだね」
「レオン殿の仰る通りで、伯父は仮面などなくとも化け物じみた方です」
「剣だけでなく弓も得意で風流人って、盛り過ぎだろ?」
レオンとスミハル殿を交えて話をする。
その日は特に何もなかった。
翌日。
俺は理事長に呼び出された。
「良く来てくれました、マッカ殿に護衛の依頼が来ております」
「もしかして、カラスミ卿ですか?」
「ええ、カキワラ家で催される句会の護衛を頼みたいと」
「お受けいたします、カキワラ卿は仮面衆の容疑者なので」
「渡りに船と言う事ねね、あなたの他には家からダイダイマルを出すわ」
俺は理事長室を出てダイダイマルと共にカラスミ卿と三人パーティーで出発した。
「ほう、これはこれは臭いでわかりまするぞ♪」
「こっちは熱源でわかりました」
「同じくだぜ♪」
道の左右に竹林、明らかに罠だ。
俺が左側に掌から火炎弾を打つ。
ダイダイマルが右側に同じく火炎弾を小槌を振るって放つ。
爆発した竹林の中からは、武装した白仮面の忍者達が飛び出して来た!
「ほっほっほ♪ わざと誘いに乗ったとも知らずに愚かよの♪」
中将殿、馬上から賊の仮面を弓で射抜いて行く。
「熱血一刀流、フェニックススラッシュ!」
「小槌砲を喰らえ!」
俺が炎の斬撃を飛ばし、ダイダイマルが小槌を叩いて火炎放射で迎撃。
竹林通りでの奇襲を凌ぎ道を行けば、一陣の風と共に現れる仮面の公家。
「出たな公家仮面、退治してやらあ♪」
「聖獣武装!」
「おうおう、カキワラ殿ご子息かのう? 魔に取り込まっれうとは哀れな」
俺は変身し、中将殿は馬から降りて抜刀、ダイダイマルは小槌を大槌へと変化。
烏帽子に白い仮面の白髪の鬼と言う公家仮面も抜刀。
刀に吹雪を纏わせて振るえばこちらに冷気が襲い掛かる。
「任せろ、よいしょ~っ!」
ダイダイマルが大槌を地面に振るえば、大地から炎の壁が立ち上がり冷気を防ぐ。
「決めるぜ熱血一刀流奥義、フェニックスバースト!」
俺は炎の壁から飛び出し、フェニックスブレードに火柱を纏わせて振り下ろす。
回避も防御も不可能な必殺の一撃で、公家仮面の仮面は消え浄化された。
「よっと、こいつは生け捕りで良いな中将殿?」
ダイダイマルが公家仮面を受け止める。
「構わぬ、操り人形にされたつまらぬ者を斬る刀は持っておらぬ♪」
中将殿がドヤ顔で決めた、この人の考えは読めないが厄介な人だ。
「さて、奉行所へはダイダイマル殿にお任せしてよろしいかな?」
「おう、任された♪」
ダイダイマルが公家仮面だった人を担いで奉行所へと走り出す。
「まあ、ご子息は奉行所で保護されるであろう」
「では、我々はカキワラ卿のお屋敷へと参りましょうか」
「うむ、そこに親玉がおるであろう。 斬りがいがありそうじゃ♪」
うん、この中将様は一応味方で良いんだよな?
まあ、きっと、メイビー。
俺はヤバい公家を相棒に敵の根城へと向かうのであった。
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