第52話踏み込んだのは新天地と新境地

幕間.小話

ダグラス君と組んだ経緯:

マルアハさんと別れた後、アランが部室に戻るとそこにはダグラス・ハミルトンとフギン・ビフレスト先輩の二人がいた。


「お久しぶりです。今日はどうしたんですか?」

アランは卓の上に飲み物を置くと、自分の席に座った。

「聞いたよ。お三方。竜の討伐に参加。したんでしょう?今日はそのことについての。独占的な取材の許可を。取りに来たんだよ」


そう言ってフギン先輩は卓の上にいくつかのお菓子を並べ始めた。

「これが手土産ね。保存料とかは。使ってないから。なるべく早めに食べて」


「ありがとうございます。それで、どうしてダグラス君も一緒に?」

早速手土産の袋を開けると、アランは二人にそう聞いた。


「あの決闘の後に、な。今よりも強くなるためには今まで通りの鍛錬ちからだけじゃなく色んな強さを知ることちしきも必要だと思ったんだ。それでどうすれば良いのかを考えたら【決闘サークルそういうのに一番詳しい組織】に所属するのが最善だと判断した。今はそのいろいろな現場に出ている段階したづみだな」

そう言うとダグラス君は既に出されているお茶を一口飲んだ。

「彼。色々と。活躍してるんだよ」

そんなダグラス君をフギン先輩は褒めた。


「そうなんだ」

自分たちと同じように周りも変化しているのだと感じて、アランは不思議な感覚を抱いた。


「そう言えばハミルトンって、もう誰と【迷宮探索】に行くかは決まってるっすか?」

アランのパシって来た飲み物の蓋を空けながらモルダは聴いた。


「そう言えばまだだな。他の事で手一杯だったから失念していた」

「だから。部室には。籠りすぎるなと。あれほど言ったんだ」

どうしたものか、と言うダグラス君にモルダ君は「そういうことなら、俺達のグループに入るのはどうっすか?」と言った。

「良いのか?」ダグラス君がそう言うとモルダ君は「アランはそれでいいっすか?」と尋ねた。

「もちろん。大歓迎だよ」


それからしばらく五人で話した後【学内新聞サークル】の二人は去って行った。


2.数日後・地下迷宮正門

そこには大勢の学生いちねんせいたちの姿があった。


しばらくするとその前に三人の教員達が現れた。


「これより、【第一次迷宮探索フィールドワーク活動】を行う。既に申告してある班のメンバーは揃っているな?それではこれより説明を始める。諸君等の命にかかわる重要事項だ。死にたくなければ脳髄深くに刻み込むように」


「君たちは第二グループとして順次探索を開始してもらう。内部には既に他の班や教員も入っているので協力するように、当然の事ではあるが妨害は禁止だ。それともう一つ、万が一内部で魔物と遭遇した場合、速やかにそこから立ち去り付近の教員に報告すること。学生では倒せないので戦わないように。以上だ」


「この第二グループの引率は我々、ドール・フランキスカ。フィンリー・ヘイゲン。ハルミツ・ミネギシ理事長の三人が担当する。それでは、探索を開始していこう」


2.1,十数分後・地下迷宮1階層

アラン達の班が迷宮に入ったのは、それからしばらくしてからだった。


「それじゃあ理事長。後は頼みます」

アラン達の後ろからそんな声がすると、先ほどまで生徒達を迷宮に入れていたフィンリー教授も一緒に来た。


「さ、三人とも。後がつかえるから少し駆け足で行こうか」


それからしばらくして


「さ、さっきから小型の魔物が多くないですか?!」

銀色のコウモリを打ち落としながらアランはそう言った。

「ごめん。多分俺のせいかも!」

三人よりもかなりハイペースでコウモリを打ち落としているフィンリー教授はそう言って、杖を持っていない方の手を前に出して詫びのポーズを取った。


「どういうことっすか?!」

半分怒り気味のモルダはコウモリの金切り声と打ち落とすときの爆音の中でも聞こえるような大声でそう言った。


「こいつら、ハバネコウモリっていう魔物なんだけど。デカい魔力に反応して襲ってくるの!だから学生はかなり少人数に分散させる必要があったんだけどね!多分こいつら教授級の魔力に引き寄せられてる!」


そう言ってしばらく打ち落としていると、やがてコウモリたちは現れなくなった。

「ごめん。しばらくしたらどっか別のルートで行くから許して」

そう言いながら深く頭を下げるフィンリー教授おとなに何とも言えない気分になったアラン達は「別に、大丈夫ですよ。それよりも、ここでしか聞けないことを教えてください」と言った。


アランの言葉にフィンリーはパアァという音が聞こえてきそうなぐらい表情を明るくするとアラン達に色々な事を教えてくれた。


「まずは、そうだな。我々を襲ってきたこの【ハバネコウモリ】はね。天ぷらにすると美味しいよ。迷宮内では貴重なタンパク源だね。ただし専門知識がない状態での調理は食中毒の原因にもなるから食べるなら免許を取ること。詳しくは高等部の迷宮学科専攻か。図書室の専門書を読むとわかるよ」


「この迷宮中を照らす光源は【蛍ゴケ】という植物だね。これの有無で大型の魔物の有無を確かめる方法もあるんだよ。ちなみにこれも迷宮内では貴重なタンパク源だ」


「通路が複数に分かれている時は気を付けて、魔物が罠を張っている場合がある。ちなみに魔物の罠に使われる【匂玉においだま】には動物性たんぱく質が使われていることが多い」


そんな話をしばらく聞きながら歩いていると「それじゃあ私はここら辺で別行動となる。何か不測の事態が起こったら出発前に渡した笛を鳴らすこと。いいね」と言った。

三人が返事をするとフィンリー教授は満足そうな顔で頷いて、ルートから外れた学生がいないか探しに行った。

「あの教授、ずっと魔物が食べられるかどうかしか言ってなかったっすね」

モルダ君のその言葉にアラン達二人も深く頷いた。


2.3,それから数分歩いて・迷宮内第一階層

「だからさぁ!最強なのは絶対におでん仙人だって!」

「いーや!アルファルス一世っす!」

「緊張感を持てよ。ここ迷宮だぞ」

そんな事を話していると「あんまり近づくんじゃないわよ!」という声がした。


三人はすぐに駆けだしてそこへ行くとそこには足に怪我をしているマルアハさんと少し離れた位置に三人の女子がいた。




あとがき:皆さんこんばんは

目玉焼きです

遂に始まりました迷宮探索!

この作品の第一話から登場していながらあまり触れることの少なかった迷宮に遂に踏み入れることが出来ました!!!


と、言っておきながらメインはそれぞれの深掘りが中心でしたが、いかがだったでしょうか

早口で食べられる魔物の紹介をしている教授が個人的にお気に入りです

なんでそのバイタリティーどきょうがあって焼き肉の脂身には青い顔していたんでしょう。

謎です


さて次回『清算①』

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