一つ竹林を歩けば。

つばきとよたろう

プロローグ

竹林の小径 京都市右京区嵯峨小倉山田淵山町

夜道を歩いていると、いつの間にか竹林の道を通っていた。一人で通るには寂しい道だった。しばらく歩いたがなかなか竹林は抜けられなかった。そのうちに奇妙な物を発見してしまう。それは白い手と足だった。それがこっちへおいでおいでと揺れていた。死体が埋まっていると覚悟した私は警察に通報する。電話は思うように通じなかった。ようやく通報して警官が到着した。すぐに検視が始まった。が、死体は埋まっているので掘り返すのは翌朝にすることに決まった。私もそれに立ち会うことになった。朝になって数人で死体を掘り起こし始めた。ところが幾ら掘っても手は長く、地中に深く埋まっていた。二メートル掘って、話し合いが始まった。これは人の物ではない。そう結論が付いた。それで手と足を地中に埋めることにした。それからも時々竹林で白い手と足を見掛けることがあったが、触らぬ神に祟りなしでやり過ごした。

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