余命まであと。

@ り う .

第1話 美しい彼女

僕がその子を見たのは偶然だった。


三歳下の妹、雪乃が中学校でアレルギーを発症し、皮膚科に行ったと連絡を受けたにもかかわらず、母は仕事で急用が入った。だから僕が雪乃を迎えに来たんだ。


美しかった。


第一印象はそれしかない。


スッと通った鼻筋。ほんのり桜色の頬。白い肌。目は大きく、黒髪ロング。


高校生の僕には少々刺激が強すぎるような、露出の高い洋服を着ていた。


まあ、夏であり少々しょうがない気もするが、僕の学校は制服でこんな美少女は存在しないのだから仕方ない。


ぶっちゃけ結構タイプの子だった。


だからそんな子が、入院病棟のほうのエレベーターから出てきたのは驚いた。


見た感じは僕と同じ年齢くらい。親族や知り合いが入院していてそのお見舞いに来た、とかそんなところだろう。


そう思い、僕は雪乃と家路についた。


数日後、彼女と言葉を交わすことになるとは知らずに。

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