衝動

RikuzouNovel

第1話

○校舎が見える通学路

主人公A「はぁ、今日の学校行きたくないなぁ。いっそ爆発してしまえばいいのに」


ドカーンと大きな音とともに校舎が爆発する!

愕然とする。主人公が立ち尽くす。



○教室内(社会科の授業時間)

先生「それじゃあ、次のプリントを見てください。え〜、ノーベル賞はどのようにして作られたかわかる人いますか?」


生徒(全員)「しーん...」


先生「えーと、それじゃあ、今日は12月3日だから、1+2+3で、出席番号6番の人!」


主人公A「...わかりません」


先生「じゃあ、一つ後ろの人わかりますか?」


生徒B「はい、ノーベルはアルフレッド・ノーベルの遺言に従って1901年に作られました」


先生「そうだ。よく知っていたね。では、ノーベル自身はどんな功績があったか。君の左横の人に答えてもらいましょう」


生徒C「ダイナマイトゥ〜!」


先生「はい、癖が強いダイナマイトありがとう」


先生「では、ノーベルは...」

チャイムの音が鳴る「キンコンカーン...」


先生「あっ、もう授業終わりの時間だ。はい、では、今日はここまでとします」


生徒D「起立、令」



○廊下(放課後)

主人公A「今日、先生に当てられた所よくわかったね」


生徒B「昨日、たまたまノーベル賞の特集をテレビでやっていてわかっただけだよ。それに化学は面白いし」


主人公A「そっかぁ、僕は数学もダメだし、理数系は全部だめだから羨ましいなぁ」


生徒B「それは、教科書や授業で聞いたことばかり勉強しているからだよ」


生徒B「もっと身の回りのことに興味を広げれば、数学だって、化学だって面白くなるよ」


主人公A「そっかぁ、僕も自分で身近なことに興味を持てればなあ。でもやっぱり、授業は面白くないし、家で好きな映画だけ観ていたいなあ。」


遠くを見つめながら、ふと、つぶやく。


主人公A「学校が急に壊れて、明日から休みになったりしないかなぁ。それこそ爆発してさ」


生徒B「それ、やってみたら?」


主人公A「無理だよ!(笑)。そういえば、今日は部活ある?」


生徒B「ないけど、今日、先生と面談の約束がある」


主人公A「そっか。今日部活休みだから一緒に帰ろうと思ったのに。待っていようか?」


生徒B「いや、俺の順番一番最後だし、遅くなると思うから」


主人公A「そっか、残念だなあ。じゃあ先に帰るよ。また明日」


生徒B「また明日」


生徒B「さてと...」



○理科準備室(放課後)

扉に耳を当てて中の音を探る。部屋の中から声が聞こえる。


先生「えーと、これはこっちで、塩酸は明日の授業で使うから。よしっと」


先生が扉に近づいてくる。


生徒B(やばい)


慌てて角の廊下に隠れる。


先生は扉からでて職員室に向けて歩いて遠ざかっていく。


生徒B(ふーっと、ため息をつく)

改めて扉の前に立ち鍵を開け、中に入る。


生徒B 「必要なものはこれとこれとこれだな。あとこれもかな?」


先生(あっそういえば、プリントを忘れた!)

踵を返して、準備室の方へ戻り出す。


生徒B(どの薬品を持っていくか迷う)


先生がどんどん準備室に近づいてくる。

カツカツという音が聞こえる。気持ちが焦る。


先生(ガチャっ)

ドアの鍵を開ける音。しかし、扉は開かない。


先生「あれっ、鍵をかけ忘れていたかな?」


気持ちの中に誰かがいるのではという疑いが生まれる。あたりを見回す。棚の角にある隙間を恐る恐る見て見る。がしかし、そこには誰もいなかった。


プリントを持って先生は出ていく。


先生が準備室からでて、遠ざかっていく音が聞こえる。理科室の机から出て、再び準備室へと戻り、見当をつけていた薬品を手に持つ。


生徒B(よし、これで間違いない)



○主人公Aの部屋

部屋の中は音楽に関する質の良い機材が設置されており、部屋はきれいに整頓されている。


主人公A「ふんふ~ん、ふんふふ~ん」


ヘッドホンをつけながら部屋の中をスキップする


主人公A(やっぱり、この曲は良いなぁ)



○生徒Bの部屋

(ガチャ)

手で扉を開ける音


部屋の中は専門的な器具であふれている。室内はどんよりとした空気が立ち込めている。


鞄を机の脇において、おもむろに薬品類を取り出す。


手袋をつけてそれらの薬品を部屋の扉(隠しロッカー)から取り出し、混ぜ合わせる。


様々な色のついたコードを慎重に調節し、中に混ぜ合わせた火薬を入れ、ふたを閉める。


机の上に置いてあるパソコンを立ち上げ、プログラムの調整をし始める。口元が少しにやける。



○通学路

2週間が経った。今日は主人公Bの英語の発表の日である。


主人公A(はぁ、今日が自分のプレゼンテーションの日なのか…。嫌だな。緊張して頭が真っ白になったらどうしよう。今日学校が失くなったりしないかな)


歩いているうちに学校が見えてくる。ますます気持ちが重くなる。


主人公A(いや、なんとかなるはず)


瞬間、ものすごい音ともに、学校の窓がすべて砕け散る。


顔をとっさに手で覆う。なにが起きたかわからずに呆然とする。


学校の窓から炎が飛び出している。

学校から中に居た生徒が走って逃げてくる。


主人公Aが立ち尽くしていると、携帯に電話がかかってくる。画面には生徒Bの名前が書かれている。


電話にでる主人公A。


生徒B「今日の学校休みにしたから」


主人公A「どういうこと?」


生徒B「だって、今日の学校行きたくなかったでしょ」


主人公A「そうだけど、君がやったの?」


生徒B「いいや、お前が爆発させたんだよ」


主人公A「えっ…」


生徒B「お前、授業が退屈だといっていたよな。」「だから、お前が一番学校に行きたいと思わない日を待って爆発させたんだ」


主人公A「なにを言ってるんだよ」


生徒B「俺がお前の気持ちを実現させた。お前のために」


主人公A「そんなことは頼んでいない!し、あれは冗談だ!」


生徒B「いいや、お前が心から望んだことだ。それにもう現実を変えることはできない」


主人公A「そんな」


愕然とする主人公A。涙が零れる。


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