クッキーの作り方
幼い頃の記憶を呼び覚まし、材料に手を伸ばす。
材料の入ったボウルには名前が書かれたシールが貼られていた。
右から【強力粉】【中力粉】【薄力粉】【グラニュー糖】【ドライイースト】【砂糖】【塩】【コンスターチ】【片栗粉】【ベーキングパウダー】【ココアパウダー】【イチゴパウダー】【抹茶】【チョコチップ】【粉砂糖】【バター】【マーガリン】【卵】と並んでいた。
卵の隣には茶色い小瓶のバニラエッセンスとバニラオイルが置かれていた。
計りは調理台の上に置かれていたが、ふるいやヘラ、型などの器具は綺麗に流し台の所に重ねられていた。
私はそこからいくつかのボウルと、ふるい、ヘラを調理台へ持ってきた。
そして虫食いレシピを確認する。
【クッキーの作り方】
①溶かした?gのバターに?gの砂糖を加えて混ぜ合わせる。
②そこによく溶いた?gの卵を?回に分けて入れて良く混ぜる。
③?gの薄力粉を何度かに分けてふるい入れ、ダマにならないようにしっかり混ぜる。
④?ほど寝かす 。
⑤オーブンを?度に予熱する。
⑥クッキングシートをひいたオーブントレーに型抜きをした生地を並べる。
⑦予熱ができたオーブンで約?分焼き、完成。
「赤野君、青い扉の部屋に置いてあった洋菓子って本、読んでないわよね?」
私は虫食いレシピを睨みながら、ダメもとで赤野に尋ねる。
「俺が調べたのは日記帳だけ。お菓子なんて作ったことないから見当もつかないよ……」
眉を寄せる赤野の返答に、私は溜め息を漏らした。
「しょうがない。レシピ通りって指示は無いし、美味しく作ればいいのよね」
幼少期の経験を活かせるほどお菓子作りの記憶は無いが、余計なものを入れず最低限の材料さえ使えば作れるはずだ。
私は先ほど読んだ「洋菓子」の本に記載されていたグラム数を思い出しながら、各材料に手を伸ばした。
バターを100g、砂糖を50g計り取る。
「あれ、卵が50gだったかしら……?」
50gと見た気がしたが、それがどの材料のものなのか記憶が曖昧だ。
「多分、その砂糖の量だと少ないかもよ」
砂糖を乗せた計りが指す「50」という数字に首を傾げていると、見かねた様子で赤野が口をはさんできた。
「分からないんじゃなかったの?」
「母さんが好きなんだ、お菓子作るの。でも俺はやってないよ、横で見てただけだから」
「なら分かるんじゃないの?」
「細かい分量は分かんないけど……」
「それでも私より記憶が新しいでしょ、頼むわ」
赤野の助言で、私は50gだった砂糖を80gにした。
次は薄力粉に手を伸ばした。
強力粉、中力粉、薄力粉の3種類の小麦粉が並んでいるが、さすがにクッキーに使用する粉は分かる。
この3つの大きな違いは、たんぱく質であるグルテンの量と粒の細かさだ。
【強力粉】は、硬質小麦から得られる小麦粉で粒が粗くグルテンが多い。
粘り気が強く、もちもちした食感なのでパンやパスタなどに適している。
【中力粉】は、中間質小麦から得られる小麦粉で粒がやや細く、グルテンは強力粉と薄力粉の間。
コシが強いので、うどんや素麺など麺類に適している。
【薄力粉】は、軟質小麦から得られる小麦粉で粒が細く、グルテンは少ないので粘り気は弱い。
サクサク感があり、洋菓子やお好み焼きなどに適している。
それらを知っていれば、クッキーの基本的な材料を知らなくても作れるだろう。
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