第3話:ポワレの魔法について。

ポワレは魔法を使おうと思えばいつでも使える。

彼女はどんな魔法が使えるか、僕に教えてくれた。


例えば、欲しいモノがある時には魔法で出せばいいし、モノがなければ作れば

いい・・・。

あと、外出時には公共交通機関を使わなくても、宙に受けるから好きなところに

飛んで移動できて、しかも一度行って記憶に残ってる場所なら瞬間移動だって

できるらしい。

フランスから僕んちにやって来た時は指輪に導かれてはるばる海を越えて

やって来たって・・・。


万能じゃん・・・怖いモノなしだな。


でもポワレが言うには魔法はむやみに使っちゃいけないんだそうだ。

人間も魔法使いも便利さに頼ったり横着したら堕落しちゃうからだってさ。


たしかにね、便利さや贅沢になれたら人間ってダメになっちゃうもんね。

宝くじだって何億も当たって気持ちが大きくなって人生持ち崩したって人

って聞くもんな。

あと、ギャンブルとかで手に入れた、あぶく銭とか・・・。


心構えの問題かもしれないけど、贅沢とか横着とかに勝てる人って

少ないでしょ。


ポワレの言ってる人生の手本みたいな意味はよく分かる。


だから、ポワレは自分の気が向いた時に作る料理もスーパーで材料を

買って来て作るし、外に出る時もバスや電車を利用する。


だからポワレが魔法を使う時は滅多にないんだ。


まあ、ところ構わず魔法を使われても困るけど・・・それになにより

ポワレは魔法を頻繁に使うと寿命が縮むんだそうだ。

体力を極端に消耗しするんだね。


でも一度だけ、ポワレが魔法を使うところ見たことがある。


近所の雑貨屋のおばあちゃんちで飼ってる猫ちゃんが、雑貨屋の店の前の

横断歩道を渡ろうとして、車に跳ねられたんだ。

その様子を見ていたおばあちゃんが慌てふためいて瀕死の怪我を負った

猫ちゃんを抱えて、僕んちに助けを求めてきたんだ。


猫ちゃんはけっこうな怪我を負っていて早く病院へ連れていなききゃ

ヤバそうだった。

だからすぐに病院へと思ったら、ポワレが自分が治すからって言って、

だからその時、ポワレが魔法を使うところをはじめて見た。


ポワレが猫ちゃんの体に手をかざすと、手から光が溢れ出してモノの

5分も立たないうちに猫ちゃんの傷が癒えて元気になった。


そばで見ていた、おばあちゃんはキツネに摘ままれたような顔で僕と

ポワレを交互に見比べた。


だから僕はおばあちゃんに念を押した。


「この子がいなかったら猫ちゃんは助からなかったかもしれないでしょ?」

「だから、今見たことは内緒にしてくれる?」


おばあちゃんは納得して僕とポワレにお礼を言って何度もお辞儀をして

嬉しそうに猫ちゃんを抱えて帰って行った。


もし、ポワレが大っぴらに魔法使いだって世間やマスコミにでもバレたら

ただじゃ済まなくなるからね。

よくも悪くもそれポワレにとってよくないことだと思うから。


もっとも今の出来事を誰かに話したところで、ご老人のたわごととしか

思われないと思うけど・・・。


で、ひとつ発見したことがある。


ポワレは魔法を使うと顔に模様が浮びあがるんだ。

まるでサーカスのピエロみたいな模様が・・・。


普通ピエロって悲劇の道化なんだけどポワレはたぶんそうじゃないと

思う。

ピエロに特徴の目の下の涙の模様がポワレの場合はハートマークに

なってるんだ。

ハートマークって今時じゃん、なんでハートマークって思うよね。

生まれた時からあるんだって。

数百年前に生まれた時、みんなからの愛情に恵まれてたのかもね。


実は本当は、そうじゃなかったことが後になって分かって来るんだけどね。

ポワレには悲しい誕生の過去があるんだ。


でも、いいと思う・・・可愛いよね・・・ほほのハートマーク。


あれ以来、雑貨屋のおばあちゃんちの猫ちゃんは道路を渡らなくなった

んだって・・・。

それももかしたらポワレが猫ちゃんに「道路を渡っちゃダメだよ」って

魔法をかけて言い聞かせたからかもね。


とぅ〜び〜こんて乳。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る