川の畔のロックな酒場
双葉紫明
第1話 big city/spacemen3
記念すべき一曲目。意外な選曲と、我ながら思った。ぶっちゃけmogwayのchristmas stepsから書き出す事を念頭に書き始めたらこうなった。
spacemen3。ご存知の方は少ないと思う。
件のmogwayや、僕の座右の銘である「brighten the corner!」という名のアルバムを作ったpavement、the pastelsやJ.A.M.C、M.B.Vやらdinosaur、sonic youthにtelevisionやV.Uの伝説。doorsジミヘンslyにレッチリ、アメリカの病。
それらを押しのけて顔出すなんて、僕にも想像つかなかった。
僕ですらそうなんだから、説明を要するだろう。
spacemen3。1980年代にイギリスはラグビーにてファーストネーム忘れたけどケンバーさんがこっちはファミリーネーム知らねーけどジェイソンさんと結成したバンドです。
当初は単調なギターロックをやってて、ケンバーさんは「僕はワンコードだけでエクスタシーを得られるんだ」ってイカれた発言をしてました。
しかしそれは、聴くものをして、「ワンコードしか知らねーんだろ!」と突っ込まれそうな、下手くそな演奏と相まって「おまえはな!」的な極めて共感性を持たないものでした。
しかし、何故か彼らはレコードをリリースし続け、その度単調さはある意味ヒプノタイズな感触に磨き上げられて行きます。
ケンバーさんはギター・ボーカル、sonic boom。
ジェイソンさんもギター・ボーカル、specemanとかかっこ良い名を名乗り、bassmanとかクレジットされたベーシストのモブ感を爆増させていたたまれます。
そんな彼らにミュージシャンシップを育んだのは、金だと思います。
ケンバーさん、地方都市のボンボンです、おそらく。
窺い知る断片はたくさんあります。
そんな風でいつしかsonicはエレクトリックな方向性へ進み「make music to take drugs to make music to take drugs to…」とか世迷い言を口走りながらヒプノタイズな方へspacemanはより健全でオーガニックなヒプノタイズな方へすれ違って行きます。
そして、アナログABそれぞれの曲にわけた「recurring」というアルバムを作り、分裂します。
sonicはspectrum、ジェイソンは名前忘れたけどなんかやって、ジェイソンのバンドのが一時売れた頃がありました。
recurringも実はジェイソンサイドであるB面のが良かったりします。
けれどもなんだか僕はsonicのが好きで。
spectrumではアナログシンセの音の粒を聴かせるような、よりおかしな方向へ突き進み、CDジャケを緑の液体入りのビニールで包んでそれが輸送中に破れて漏れてダメにするとか、良くわかんない事やってます。
金もコネもなく一生懸命バンドやってた僕からすれば、この道楽みたいな極めて趣味的なスタンスはムカつく筈なんですが、なんだか好きなんですよね。
話を曲に戻すと、やっぱり単調です。
テクノみたいな肉体性も、音響系のザラつきもない。
歌詞は「big city bright lights, cool, cool peaple. big city. everibody i know can be found here」の繰り返しだけ。
最後に聴きとれないコーラスが入る。
何のカタルシスもない。
何の回答もない。
ただ、僕には酷く快楽的に響いて、これが鳴ってる間はぜんぶ忘れられる。
ぬるま湯?
それとも少し違う様な。
とにかく、みんな一度は聴いた方が良い。
他の曲では味わえない体験は出来るから。
それをどうするかは、君しだいだ。
次からもそういう曲ばかり紹介して行きたいと思います。
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