第9話 真実

 この誘拐事件の真実を突き止める為には、まず20年前に遡らなければならない。


 実は…ハヤーリー王国(妖怪王国)の王には妹君がいた。それはそれは美しいガザーラ王女だったが、20年前ダウリー王国のザ―イル王に見初められ恋に落ちた。


 丁度女王様を病で失い失意のどん底にいたザ―イル王は、視察でハヤーリー王国に出向いた時に、ガザーラ王女の余りの美しさに一目見るなり恋に落ちてしまった。


 こうしてアーリヤ王女が誕生したのだが、激しい恋に落ちた2人だったのに全く酷い話だ。子供が出来たにも拘わらず結婚する事が出来なかった。

 

 元々6王国の中でも群を抜く野心家でプライドの高い王国だったダウリー王国にとって小国の王女との結婚などあり得ない。ハヤーリー王国などダウリー王国にとって何の利益にもならないどころか、足かせでしかない。


 まだ存命だった高齢で王を退いていた父に、説得されて泣く泣く諦めさせられた。


 今でこそ世界有数の経済大国となったが、20年前はまだ砂漠地帯だったサハラ王国連邦は、ヨ―ロッパ等の大国とのパイプが必要だった。


 そんな時にイ○○ア大統領の親戚筋のお嬢様との縁談が持ち上がった。


 ザ―イル王はガザーラ王女を愛してはいたが、ガザーラ王女を捨ててしまった。だが、その恋に絶望したガザーラ王女は死を選んだ。



 ★☆

 

「フッフッフッフ!サラーフ強力してくれて有り難う。愛する母を死に追いやった憎い父。フン!」


「だけど……やり過ぎじゃねぇ?」


「もう絶対許せない!私はお義母様から酷い仕打ちを受けて育ったわ。それと言うのも父が死んだ母を忘れられなくて、お義母様と上手くいかなかった。それでお義母様が私に八つ当たり」


「そうだったんだね!」


 ★☆

「オイ!分かって来たぞ。どうもアーリヤ王女誘拐事件だが、自作自演だった可能性が出て来た」


「一体どう言う事?」


「復讐だよ!確かにガイヤースグル-プが地面師のタ―ゲットに遭い、不動産王の異名を持つガイヤース氏が殺害されてしまった。それでボーイフレンドだった息子のサラーフを慰め勇気づけていたアーリヤ姫だったけれど、その話は尾ひれ付いている。だからガイヤース氏が、アムン王国の土地を汚い手を使って奪った事は事実だが、確かにガイヤース氏が、地面師に殺害されたのは事実だが、ザ―イル王と手を組んでアムン王国の領土を奪おとしていた話は違う」


「そうだったんだ。ザ―イル王とガイヤース氏が手を組んでいた話は単なる噂だったんだ」


「だが。王国同士の領土争いは今も続いている。ザ―イル王が一方的に領土を奪っていると言われているが、どっちもどっちらしい?」


「な~んだ。そうだったの」


 ☆★

 ハヤーリー王国のガザーラ王女は生前深い森の中で、妖怪たちと遊んで良好な関係を築いていた。それは幼い子どもの頃から変わらず妖怪たちとは、ず――っと深い絆で結ばれていた。


 今は妖怪王国になってしまったが、過去には妖怪たちと共存共栄して幸せに暮らしていた。


 だが、ガザーラ王女が亡くなってこの王国は崩壊して行った。


 唯一妖怪たちと心通わせ会話が出来るガザーラ王女が、亡くなった事で妖怪たちが反乱を起こした。そして…ガザーラ王女の娘アーリヤ王女とも自然と心通わせていたのだが、なんとガザーラ王女が亡くなった事で父の元に引き取られた娘アーリヤ王女が、継母に酷い扱いを受けている事が分かって来た。


 ガザーラ王女が亡くなった事で、ダウリー王国のザ―イル王に対する不満が爆発したハヤーリー王国の妖怪たちは、そのうっぷんを晴らしたいと常日頃から考えていた。


 そんな時にアーリヤ王女が継母に、酷い扱いを受けている事を知り完全に切れてしまった。


 それと言うのもアーリヤ王女は母ガザーラの元で3歳まで共に生活していた。

 だが、ダウリー王国のザ―イル王が、再婚した事によって唯一の望みが絶たれた母ガザーラが自死の道を選んだ。


 妖怪たちにすれば母ガザーラを失い、娘アーリヤ王女までもダウリー王国に奪われ、それでも幸せを掴んでいればまだ許せたが、継母からの度重なるいじめに黙って見過ごす事が出来なくなった。


 そんな時にアーリヤ王女から相談を持ち込まれた。

「もうお義母様の度重なるいじめに耐えられないの。どうしたらいい?」

 

 こうしてハヤーリー王国の住民をラーメェ王国に避難させ戦闘態勢に入った。決して追い出した訳ではない。



 ★☆

 それではどのようにしてにアーリヤ王女は誘拐されたのか?


 いよいよ話も佳境を迎える。

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