第19話
「せ、センカ様がお花を萎れさせたのですか……!?」
うん、と頷いてから続きを話す。
「ステラと同じようにね……ボクも早くお花の成長した姿を見たくて、お水をあげすぎちゃったことがあるんだ」
確か記憶では、2リットルのペットボトル分くらいの量をあげてたような気がする。
「それでステラも知っての通り……見事に萎れて枯れちゃったんだ。それからボクは気づいたよ。何でも愛情を多く与えればイイ訳じゃないんだって……。正しい愛情の注ぎ方ってのがあるってことを、ね」
「正しい愛情の注ぎ方……」
ステラはボクの言ったことを復唱するように、考えるように呟いた。
「そう正しい愛王の注ぎ方……しかし、これが中々難しいんだよね。やっぱり、どうしても愛情マシマシにしたくなっちゃう時があるんだ。でも、そんな時は『我慢するんだ……! 我慢するんだ……!』とか『これ以上、愛情を注げば後悔するぞ……!』って必死に堪えてると、ある日、自然と克服できたんだよね」
「…………」
「もちろん、これが全て正しいってわけじゃない。他にもお花に対する向き合い方はある。それも無限に。だからさ、ステラ……。ステラも一度―――お花に対する向き合い方を考えてみない?」
「………!! はいっ! 精一杯考えて、私だけの答えを導いてみせますっ!」
どうやら吹っ切れたみたいだね……その決意に満ちた表情は……。
よかった、ボクの言葉はちゃんとステラの心に届いたんだ……。
本当に……よかった……。これでもう、寄り道する必要はない。
あとは真っ直ぐ—――前に突き進むだけだ。
「偉いね! ステラ! スゴくイイ子!」
「えへへっ!」
「よーし! ステラ、お花のある所まで案内してくれるかな?」
「任せてください!」
そうしてハイテンションなボクたちは、萎れてる他のお花たちを元気を与えに向かったのだった。
……のだが。
「ボクは最後に伝えておきたいことがあるんだ」
「? なんですか? 伝えておきたいことって」
「それはね……」
唇を人差し指に当てて、ウィンクする。
「—――お花の命は、どんな命よりも重し、ってことだよ?」
◆
ステラの案内された小さなお花畑には……予想通りほとんどのお花が萎れていた。
また、中には枯れかけてるお花なんかもあった……。
ホント……お水与えすぎだよ、ステラ……。
でも、ボクの水操作魔法によって、何の問題もなくお花たちを復活させることができた。
我ながら、スゴイ魔法だ。
まっ、そんなわけで魔王とその配下である魔王四天王にプレゼントするお花の準備は整った、というわけだ。
あと、するべきことは—――
「パパ上、ママ上。お願いがあるんだけど訊いてくれるかな?」
対面に座ってる両親を説得するだけだ。
〜あとがき〜
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