終話 追放から始まった幸せ

 私は、その後すぐにクラウスと婚姻をした。


 騎士団長の座は副騎士団長へと譲り、ヴェルマー領の統治に専念することにしたクラウス。

 それに伴い、私も“名誉魔道将軍”の称号を維持したまま騎士団の前線から退き、ヴェルマー公爵夫人としての責務を果たしている。


 お互い公務が忙しい中にも、この10年の空白を埋めるように毎晩愛を重ね、すぐに双子を身ごもり、私は2児の母となった。


 その後もクラウスは毎晩のように私を求め、次々に子供が生まれ、私たちは10人の大家族となった。



⸺⸺


 公務の合間、私とクラウスはヴェルマー城のバルコニーで紅茶を飲んで一息ついている。


「それにしても、この地を追放されてからまさかこんな形で戻ってくるとは思わなかったわ」

 私はそう言って紅茶を一口飲む。


「俺もだ。シェリーが急に帰ってきたと思ったら、いつの間にか公爵だもんな」



「ねぇ、クラウス。私のこと、ずっと好きでいてくれてありがとう。あなたの一途な思いがあったからこそ、今の私たちがあったと思うの」


「それはこちらの台詞だ。お前が帰ってきていきなり騎士団を訪ねていなければ、この未来は待っていなかったかもしれないんだ」


「10年……間が空いちゃったけど、それから更に10年……空白は埋まったかしら」

「俺はまだまだ埋め足りんぞ。そうだシェリー、この後確か1時間ほどお互い余裕があったな」


「ふふ、そうね」


「ならばこんな紅茶など飲んでいる場合ではない! シェリー、ベッドに行くぞ」

 クラウスはそう言って椅子に座っている私をお姫様抱っこする。


「ちょ、クラウス、またこんな昼間にするの?」

「こうやって公務の合間に真っ昼間からするからより萌えるのではないか。なんならここでするか?」


「もう、クラウスがこうやって外でイチャつくから、あなた世間でなんて呼ばれてるのか知ってるの?」


「“骨抜き公爵”だろ。もちろん知ってるさ。だが事実だから仕方がない。歪んだ噂が回るよりよほど良い」


「もぅ、クラウスったら……」


 私たちは熱い口づけを交わし、私はそのまま寝室へと運ばれた。




⸺⸺おしまい⸺⸺

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【完結】婚約破棄をされたので、悪役令嬢の私は祖国の騎士団長様に愛されることにします るあか @picho

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