15
外山さんが居なくなり部署の中は諍いがなくなり穏やかになった。
しばらくして上司は別の部署に移った。
とにかくこのプロジェクトを成功させなければ。
何も考えず仕事に集中した。
家に帰るとわんころもが出迎えてくれる。
ただ嫉妬してジンマーマンが来ることはない。
思い出して切なくなる。
わんころももしばらくはふさぎこんでいた。
犬にもわかるのね。
今はもう元気。
今日はあこの部屋でごちそうになった。
帰りにあのコンビニに寄った。
もしかして外山さんがいるかもしれないと店内を無意識に探していた。
引っ越ししてしまったのだろうか。
馬鹿ね。
あこは結局私が休んだ理由を聞かなかった。
その優しさに胸が熱くなる。
また次の休み。
今度はあこがうちに来た。
今日は父母が出かけている。
私が料理するからと言って招待した。
あこがこわごわ何を作るの?と聞いてきた。
ネットで調べたこれとこれと言うと、
ふんふんと言った。
私だって頑張ればできる。
と思って作った。
時々あこが覗きに来る。
ふーんと言って手も口も出さない。
きっともどかしくてたまらないに違いない。
なんとか完成すると褒めてくれた。
自分でもまあ良くできたかなと思えた。
これから作っていこうかしら。
あこが帰ってしまうと家の中が火が消えたように静かになった。
わんころもとふたりきり。
出かけていた母が帰ってきた。
わんころもが出迎える。
父も帰ってきた。
わんころもは出迎えない。
私と一緒に居たいからね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます