第7話:第三強襲型艦隊
最初の攻撃から3時間が過ぎた。あたりはすっかり暗く艦内では絶えず重苦しい空気が漂う。あれから敵の音沙汰はなく飛行物体も今は沈黙している。
「…以上が今回の戦闘報告になります。日が昇り次第、エアオスプレイが敵機の回収に来る算段です」
本土に居る元帥と映像越しで報告をし終える。
『直ちに第三強襲型艦隊を向かわせる、明日の0700には着くだろう。合流次第ハワイ諸島に帰還せよ』
「了解です」
元帥殿と会話するのは体調に悪い。無駄に威圧感剥き出しだしご苦労の四文字も言わないような、人を人として見てない人間。全く気が滅入る。
「艦長、お疲れ様です」
声を掛けてくれたのはグレガー副艦長だ。
「ありがとう、グレガー」
「それと… 戦死した者の水葬の準備が整いました。夜明けには水槽式を行う算段です」
「…死体は、半分も回収できなかった…」
「それは本当に残念です、彼らの分も弔ってあげましょう」
数時間が経ち、水平線にオレンジ色の太陽が登り始めた。空母ワケアの乗組員は飛行看板へ集い、仲間の入った棺桶が海へ投げ入れられるのを敬礼しながら見届けた。空砲の音が3回鳴り、弔いは終わった。
環境に戻り壁に備え付けの艦内アナウンス用マイクを手に取った。
「諸君、俺はこの船に就任してからまだ日が浅い。君達の中には死んでいった同志と親しかった者もいるだろう。今回の失敗は俺にある、俺が未熟な余り彼らを死なせてしまった。この罪を俺と背負ってくれとは言わない、だが一致団結し目前の敵を葬ろう、以上だ」
マイクを切りC.O.と書かれた席に座る。
「エアオスプレイへの積荷の状況は?」
「80%完了しました、10分もすれば発艦する手筈です」
ジョーンズが報告した。
「もうじき第三が到着するはずだ、そっちの方はどうなってる?」
「予定通りに行けばあと50分後に到着—」
無線に雑音が走った。
『こちら空母マイケル・スラットリーの艦長イワン・クレイターだ。空母ワケア、応答願う』
右上に備え付けの受話器型無線を引っ張った。
「こちら空母ワケア、艦長の綾風メイソンだ。予定より少々早いご登場かな?」
『楽しみがあると早足になる癖でね』
8時の方向に第三艦隊が見えた。護衛にウェスタン・ハルガー級ミサイル駆逐艦を5隻、ピーキー・ブラインダー級ミサイル艦を6隻、ルーテンダー級支援型空母を2隻つけてる。それらの旗艦となるのはニューゲーター級強襲特化型航空母艦マイケル・スラットリーだ。通常の空母とは異なり、アングルデッキを左右に2個と発艦カタパルトを二段にして同時運用数を5から10に増加した。アングルデッキにも一個ずつ発艦カタパルトがある。俺らの空母はニューゲート級の一世代前の船だ。設計はそれまで続いた空母設計のままだから、ニューゲート級とは性能が相当劣る。
と軍艦マニアが発揮してしまった。俺の悪い所だ。
「作戦指揮権はあなたにあります」
『階級では同じなのにな、では第五離島防衛艦隊と第三艦隊は合併し、綾風旗艦長をこれより第二旗艦長とする』
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