背向け神社と水面の柳

無頼 チャイ

プロローグ

 澄まず、濁らず、出ず、入らず、かわずはわかず、は生えず、魚が七分に水三分。


 猿沢池の七不思議をご存知だろうか。

 三条通りを抜けたところに池がある。この池は様々な伝説と魅力を持っている。

 特に、采女うねめの伝説は大変有名で、采女を祀った采女神社。毎年中秋の名月に行われる采女祭り。帝の寵愛が薄れ悲嘆した采女が、人生を投げた池こそ、この猿沢池であり、采女伝説の舞台。

 また、南都八景として数えられる『猿沢池の月』は、興福寺、五重塔が周囲の柳と一緒に水面に映るため、その夜景はとても美しい。

 このような数々の魅力は、歴史の偉人にも影響を与えたと言われている。


 ところで、柳に池と聞いて、幽霊を思い浮かべなかっただろうか。古来の褒め言葉として柳腰が女性に使われた。また、柳に風と、柳が風になびく様から、逆らわず穏やかな人を指す言葉もあるそう。

 そう、女性の例えとして、柳には深く関連がある。

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