クランの仲間に保険金欲しさに毒を盛られ、ダンジョンに捨てられた話する?まぁ魔物と話せるから余裕ですが!!
黒トンボ
第1話 追放
俺ことオルガンは、今まさに仲間に裏切られ森に捨てられようとしていた。
「か・体が動かない……まさか水に毒を盛ったのか?」
目の前にはクスクスと小馬鹿にしたように笑う、仲間の姿があった。
「お前の水筒にしびれ薬を入れておいたぜ」
そう言うと、金髪のクランリーダーのバイオリンは笑った。
「なぜ……だ?理解できない。同じクランの仲間だろ?それにバイオリン、お前と俺は
「
「無能?」
えっ何言ってんのこいつ?確かに俺は戦闘向きじゃないけど、クランの運営と管理やってるじゃん。
「もぉ~オルガンったらホントおバカさんなんだから!あなたは無能よ。せいぜい荷物持ち程度の価値しかないあなたに価値があると思っているの?ホントおバカさんなのね」
そう言って銀髪の女魔法使いホルンは笑った。
「うぬ、お前のような
ガタイのいい戦士のドラムが、どや顔で俺を見下してきた。
「そうだにゃ!お前はいらないからポイにゃ!」
小柄の女シーフのベルはにゃにゃにゃと楽しげに笑った。
「分かった!お前達の気持ちは分かった。でもそれなら普通にクランを追放すればよかったんじゃねぇのか?わざわざこんな魔物だらけのダンジョンに捨てる意味なくねぇか?めんどくさくね?」
俺がそう言うと、バイオリンはニヤリと笑った。
「お前には保険をかけているんだ。そしてその保険金の受取人は俺だ」
「はぁ?俺保険なんて入ってないぞ」
「ああ確かに、お前は自分が保険に入っているなんて知らないだろうな。俺がお前の代わりに契約したからな」
えっなにそれどゆこと?
あれか!保険金詐欺か!!っておい!!まじかよ……
本人なしで契約オッケーなの?コンプライアンスがばがばじゃん。
いやそれ以前に、俺を殺そうとしてる奴らとパーティー組んでたのかよ。
最悪……
俺、保険金殺人の被害者じゃん。
お巡りさ~んこいつです。
「ちなみに保険金の受取額は?」
「100金貨だ。まぁ最後に少しは俺達の役に立ったって事だ」
「ありがとねオルガン、あなたのおかげで新しい魔導書が買えるわ」
「うぬ、わしも新しい装備が買える」
「にゃにゃにゃ~ん!いっぱいお魚が食べれるにゃ~」
うわ~引くは……
ここまで性格悪い奴とかいるんだね。
どんだけ酷い事してるか分かってる?
サイコパスなんじゃないのこいつ等?
てか保険金100金貨って……
まぁ小さな家くらい買えるか……
「そう言う事だから、じゃあな」
「っておい!俺に止めは刺さないのかよ」
「そんなめんどうな事はしねぇ~よ。魔物が始末してくれるだろ」
うっわ~マジもんの鬼畜だこいつ。
生きたまま食われろってことかよ。
でも、待てよ?
こいつ等、一連の流れにまるで躊躇がない。
それに明らかに手慣れている。それってつまり……
今回が初めてじゃない!
あー!やってんな。何度も
クソが!!
なぜ気づけなかった俺!!
「……めんどくさいんじゃなくて度胸がないから出来ないんだろバイオリン」
嫌な人殺しは、魔物にやらせるゲスが!!
「はぁ~何バカな事言ってんだ!お前」
バカはお前だ!
「ちょっとバイオリンやめなよ。こんな奴の言葉に耳を貸す必要はないわ行きましょう」
「くっくっく、度胸のない腰抜けバイオリンに、計算の出来ない
俺は小馬鹿にして言った。
「ハァ…ハァ… 腰抜け……脳筋パーティー?取り消せよ……今の言葉……!!!」
バイオリンは剣を抜いた。
ハッタリだな。お前の様な卑怯者に俺を殺す勇気はねぇよ。
「にゃにゃ!バイオリンやめるにゃ。皆気にしてないにゃ」
「うぬ、バイオリン殿!こんな奴の話を聞く必要は無い」
俺は力を振り絞って、痺れる手でシッシッとあしらった。
「せいぜい後悔する事だな」
「後悔?そんなのするわけねーだろバーカ」
「ふふっオルガンさんったら頭のねじをどこかへ忘れて来たのかしら?」
「うぬ、こいつバカ」
「にゃにゃ~ん。あったま悪~いにゃ!にゃにゃにゃにゃにゃ~ん」
きっと、いや確実に後悔するよ。
なんせ……クランの資産は俺個人名義だから、俺が死ねばすぐに使えなくなるよ。
「なんか怒るのも馬鹿らしくなった。帰るぞ」
バイオリンはそう言うと、不敵な笑みを浮かべながら、楽しそうにこちらを見た。
「そうそうオルガン、お前って確か魔物と話せるスキルを持っているんだろ?だったら、最後に魔物に命乞いでもしてみたらどうだ?魔物様どうか助けてくださいってな、ははっ」
嫌な奴だなぁ~!あっ、でも本当に魔物と話せるから!
じゃなきゃ、この状況で余裕かましません。まぁ信じてないからこんな事するんだろうなぁー。
バイオリンは皮肉たっぷりに捨て台詞を吐くと、一同は来た道を帰ろうとした。
「バイオリン!覚えておけッ」
奴らの足が止まった。
「忘れるな!お前達は一人の男を殺したんだ!」
ハァー?と言う顔をする一同にバイオリンはアホくさと言わんばかりのジェスチャーをすると、仲間達と笑いながら帰って行った。
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