守護者探索編

第12話 始まりの村マーリ

「多数の生命反応を発見。この規模は・・・村か」


ルークはゼクロスから降り、ゼクロスを草むらに隠すと、勝手に動かされない様にロックを掛けた。

エミリアとの守護騎士契約を解除して以降、ルークは単独で各地を飛び回り情報収集を始めていた。

ルークが道を歩いていると村の入り口らしき物が見えた。

入り口には少女らしき人間が立っている。


「始まりの村マーリへようこそ!」


少女は元気よく村の自己紹介をする。

しかしルークはそれを無視し少女に問いただした。


「大鎌を持った赤いSVFを知らないか?」


しかしこんな少女が守護者の事を知っている訳もないだろうと、ルークは歩き出した。

その時少女がルークの服を引っ張っりこう言った。


「知ってるよ、守護者様でしょ?」


「本当か!?どこにいる!?」


思わぬ回答に面食らったルークだったが、ルークは少女に詰め寄り問いただした。


「えっとね、いつもは村の中心にいるよ!」


「そうか・・助かった!」


ぎこちなくルークは礼を言うと、村の中心へと向かった。


―村の中心部



「これは・・・」


ルークが見上げるとそこには大鎌を持った赤いSVFがあった。

だが近付いてみるとその正体がよくわかった。

それはルークの探していた守護者ではなく、SVFの残骸を継ぎはぎされて作られたSVFの形をした案山子であった。


「おんや、旅人さん、守護者様に興味がおありかい」


通りがかった村人がルークに声を掛けて来る。


「案山子に用は無い」


「いやいや、かつては本当に守護者様が守ってくれたんじゃよ、一度だけじゃがな」


「どうせ気まぐれだろう」


「だとしてもじゃ、今も案山子としてこの村を守ってくれてるんじゃ」


その村人の話によると通りがかった本物の守護者を地元の山賊が攻撃してしまい逆に酷い目にあったと。

それで前々から酷い目にあっていたこの村は、遠目から見れば守護者に見えるSVFの案山子を作り、

村を襲撃しようと企む山賊らを追い払って来たと言う。


「(これはいい話を聞いたぜ)」


なんと村に偵察に来ていた通りすがりの山賊が偶然にもこの話を聞いていた。

そしてさっそく山賊の親玉の元へと行き、報告する。


「かくかくしかじかでして・・・」


「あの村人共、俺達を騙してやがったな!もう我慢ならねぇ!」


山賊の親玉は盗品のゾークを起動すると、巨大な棍棒を持ち村に乗り込んだ。




ゾークが棍棒を振り回し、村の家屋を破壊していく。

村人達の悲鳴が上がる中、一人の老人が前に出て来た。


「お主らにはこの守護者様が見えんのか!今直ぐやめないと酷い目にあうぞ!」


「へっ!そんな紛い物!」


ゾークは棍棒を守護者の案山子にぶつけると、ソレはバラバラになった。


「ああ、我らが守護者様が・・・」


「けっ、何が守護者だ。ただのスクラップじゃねーか」


「同感だ。そいつは守護者では無い」


そこに割って入ったのはルークの乗ったゼクロスだった。


見慣れないSVFに警戒する山賊の親玉。


「み、見ねえ機体だな。お前なにもんでい!」


「何者でもいい。・・・が、この村を破壊されては困る者だ」


「何を言って・・・うおっ!?」


ゼクロスはソークの手を掴むと空高く舞い上がった。

具体的に言うと、SVFに乗っていても落ちると死ぬ高さである。


「手を離せ!いや、離すな!」


「お前に聞きたい事がある。本物の守護者についてだ」


「あっしの知ってる事ならなんでも言いますから!だから下ろしてくれ!」


「いいだろう。それと部下達にも破壊行為をやめるよう伝えろ」


「はいいいい!わ、わかりましたあ!」


こうして観念した山賊の親玉は地上へと下ろされた。


「で、守護者の情報は?」


「俺達を襲った後は王都ロンデミオンの方へ向かっていきやした」


「なるほど、そっちの方角か」


ルークはゼクロスに方角と地図をインプットすると村を後にしようとした。

そこには必死で頭を下げる老人の姿と手を振る少女の姿があった。


「任務完了・・・の前にやる事があったか」


ゼクロスは山賊の乗っていた無人のゾークを持ち上げると放り投げ、それをメガランチャーで完全に破壊した。

その後ルークは村人達の反応を気にする事無く今度こそ村を後にした。




それから数ヶ月後、守護者の案山子は撤去され、代わりにゼクロスの案山子が作られたという。

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