ダンジョンに入れる覚醒者でした。安全にお金を稼げれば良いなと思ってたのに、次々と大変な事に巻き込まれます

塩分過太郎

第1話

「駿〜覚醒者診断の結果、届いたわよ〜」


1階から母親の声が聞こえてくる。

この間、学校でうけた覚醒者診断の結果か。

親からの遺伝以外で覚醒者になる確率は低いらしいし。普通の両親から生まれた俺は結果なんて確認しなくとも分かっているようなものだけど……


高校生男子としては、もし覚醒者だったら?とも考えてしまう。


自分の部屋でベットに横になりスマホを弄っていたが直ぐに起き上がり一階のリビングで覚醒者診断の結果が入った封筒をドキドキしながら開ける。


「オイオイまじかよ……」


封筒の中身を確認すると俺が覚醒者だという検査結果が書かれていた。


「母さん俺、覚醒者だったみたい」


「は?何いってん……本当に書いてあるわね……別の書類が間違って入っちゃったとかじゃないの?」


俺より母さんのほうが現実逃避してる感じがするけど……まぁ、仕方もないか。

息子が探索者になるとか言い出しそうな流れだもんな動揺もするか。


「いやいや。流石に書類の間違いはないでしょ。ところで探━━━」


「駄目に決まっているでしょ!」


「母さんが危ないから駄目って言うのは分かるけど。俺だって死にたくないし、攻略組になるつもりなんてないよ」


「攻略組とか関係なしに。実際に戦闘をする時点で親として許せる分けないでしょう」


「でも、デスパレードが発生するような事があった時に、その戦闘経験のお陰で生き残れるかもじゃん」


「……だとしても━━━━━」


━━━━━━


長時間の話し合いの結果、渋々であるが母さんが納得してくれたので、必要書類に記入して貰い迷宮省が運営する探索者協会に向かって電車で移動中だ。


それにしてもデスパレードの事を理由にするのは、ちょっとやり過ぎだったかも。


デスパレードというのはアニメ、ゲームでいうダンジョンから魔物が無尽蔵に地上に出てくるアレのことだ。


最後に発生したのは90年以上前の話で、もう起きることは無いだろうという意見が殆どだ。


しかし、デスパレートが発生する理由が一切解明されていない以上、また何時発生してもおかしく無い。という意見も存在する。


俺も約90年間起きてないんだから、もう起きること無いんじゃない?派だけど。

納得してもらう為のいい理由になりそうだなって思って、つい言ってしまった。



「ん?もう降りる駅か」


いつの間にか目的の駅到着していたようだ。

ドアが閉まる前に急いで電車を降りた。



━━━探索者協会・紫陽花町支部━━━


「探索者協会 紫陽花町支部ヘようこそ。本日はどのようなご要件でしょうか?」


建物の中に入ると直ぐに職員の人に声をかけられる。

目的を聞いて、目的にあった受付の場所を教えてくれる係の人だろう。


「覚醒者診断結果が出たので、探索者になるために来たんですけど…」


「かしこまりました。それでは、こちらの紙を持って二階の受付カウンターにお進みください」


職員の人から番号札を受け取り二階に向かった。


それにしても番号が30って事は俺の前に30人いるってことだよね?思ったより多いな。


まぁ、俺みたいに学校で覚醒者診断を受けて

覚醒者と分かった人が来てるからだろう。

覚醒者診断は全国の高校一年が、おんなじ日程で受ける事になっているので結果が送られてくる時期も一緒なわけだし。



確率が低いと言っても1000人に一人ぐらいの確率らしいし。

親の片方が覚醒者の場合、子供が覚醒者の可能性は更に上がるし。両方の親が覚醒者の場合子供も100%覚醒者だって話だ。

そう考えると。まぁ、これぐらい居てもおかしくないかと思えてくる。


「良かった。知り合いはいないな」


職員の人に言われた二階のカウンターがある場所に到着する。カウンターの前には長椅子がいくつか設置されていて、そこには同年代ぐらいの男女が20人程座って自分が呼ばれるのを待っていた。


万が一知り合いに合うような事があったら面倒くさい事になりそうだったので、わざわざ自分の家から離れた支部に来たので知り合いがいなくて本当に良かった。


特に他の待っている人と会話をしたり等は無く一人でスマホを弄っていると一時間ほどでようやく自分の番が回って来た。


「30番の方、2番のカウンターに起こしください」


カウンターで保護者の同意書を提出すると。

本人が記入する書類を渡されたので、指示されたとおりに記入していく。


「はい。確認できました。それでは次はスキル診断になります。スキル診断はダンジョン内のみで可能となっておりますので。こちらの書類を持って地下一階ヘ移動をお願いします」


ついにスキル診断か…

覚醒者はダンジョン内限定でマンガやゲームのキャラみたいなスキルを使う事が出来る。


ただし、覚醒者全員が使える訳では無い。

寧ろスキル無しの覚醒者のほうが多い。


使えるとダンジョン内での安全度が上がるし

是非スキルは欲しいところだけど。

覚醒者だった時点で運が良かった訳だし。

都合好くスキルまで保持しているかは微妙だよな。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



読んでいただきありがとうございます。










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