影道仙、少女の正体を推察するの事(その五)
「…………!」
「『龍脈」とは大地を流れる霊力の集合体です。その霊力に人格を与え、擬似的な『生命』として活動する能力を与えられたのがあの『
「ばっ……そん、な、
「確かめる方法を簡単です。
「な……!?」
「肉を食むなり生き血を啜るなり、
「でっ、できるかバカヤロウ!!俺に『鬼』になれっていうのか、人食いのバケモンに!!」
「そうだな、普通はできまい。人間としての良心と道徳心があるのであれば、な」
激昂する金平をたしなめるように「
「つまり、そういう事であろうよ。それこそが不死の仙薬を他人の手に渡す事を防ぐ最大の防御策となろう。逆に言えば、不老不死になるためには人の生き血を
「…………」
「とまあ、以上がこの子に関する
「……俺にはどうにも納得いかねえが、コイツがまあ普通のガキではねえってことぐらいはわかる。だがよう、それがわかったところで、これから俺たちは何をしなくちゃいけねえんだ?」
「わかりません」
影道仙があっけらかんと答える。
「わかんねえのかよ!!」
「だってわかんないんだもーん。『悪路王』がこの子と出会った時に何が起こるのか、まるで予測がつきません。『龍脈』の霊力が励起して大噴火が起こるのか、天の気が呼応して大嵐が発生するのか、案外『お嫁さんになってください』とプロポーズしに来ただけかも知れません」
「まあおそらく三つ目は無いだろうなあ」
「八幡神」がトボけて茶々を入れる。困った事に事態は全く手詰まりである。
「そもそも何で筑波山なんだ?あそこが徐福の一族が最後に辿り着いた土地だってのはわかった。だがあそこにゃあ『
「ご意見ごもっとも。もちろん彼らは筑波山だけでなくこの常陸国一帯そのものを求めてやって来たのでしょう。筑波山はあくまでもこの土地における『富士山』的役割を担っているのかと。おそらく、彼ら徐福の一族が最初に入植した土地が筑波だったのでしょう」
「それもお前の個人的な推測かよ?」
「いえ、これには明確な根拠があります」
「根拠?」
「はい。『常陸国風土記』の筑波郡誌の序文はこうあります。『
「紀の国……?」
「そう、紀の国。かつて徐福が流れ着き、そこに土着して勢力を張った国と同じ名の国がここにあった。さらに『風土記』茨城郡誌にはこうも書かれています。『
「さが……だと?」
「地名で言えば霞ヶ浦、つまり
影道仙の説明を作者が補足しておくと、肥前杵島郡は現在の佐賀県
「まあ要するに徐福の一族が常陸国に流れ着いてここで同じように土着したであろうことはほぼ間違い無いかと思われます。彼らは『丹』を求め移動を繰り返し、その土地その土地に彼らが求めた『丹』を神格化した『
「あるぞ」
車座になって話をしていた金平たちの輪の外から何者かが声をかけて来た。
「北の境にある
そう声が聞こえると同時に、
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