未来めがね

肩ぐるま

第1話

あれ、こんなところに、めがね屋があったかな?

いつも通る道に、見たことの無いめがね屋があったので、何気なく店内に入った。


僕の目の前に4つのめがねがあった。

1つ目のめがねは、

自分の過去が見えるめがね。

2つ目のめがねは、

自分の前世が見えるめがね。

3つ目のめがねは、

自分の来世が見えるめがね。

4つ目のめがねは、

自分の未来が見えるめがね。


自分の過去が見えても、何の役にも立たない。このめがねは要らない。

自分の前世が見えても、なんの役にも立たない。このめがねも要らない。

自分の来世が見えるなら、人によっては見たいかも知れないけれど、僕は、これも要らない。

自分の未来が見える。これは役に立つ。僕は、そのめがねを選んだ。

めがねを通して見えたのは、テレビのニュースだった。

未来の出来事を手っ取り早く知りたいなら、テレビのニュースが一番だ。

しかし、テレビのニュースでは、自分の未来が分からない。結局、知りたいのは自分の未来だから。

自分の未来が見たいと願ったら、目の前に、テストペーパーがあった。

これは、未来に受ける試験?

だとしたら、この問題を覚えておけば、いい点が取れるということだな。

僕は、目の前のテストの問題を、一生懸命に覚えた。

めがねを外して、覚えていた問題をノートに書き付けた。

ノートに書き付けた問題を読み返してみると、もう少し先で習う問題だ。

そうか、これはこれから受ける試験の内容なんだ。しめた、これで、次のテストは満点だ。

テンションが上がった僕は、ノートに書き付けた内容の答えを調べた。

そして、次のテストでは、ケアレスミスを除いて、満点に近い点が取れた。


次のテストも、未来が見えるめがねであらかじめ見た問題をノートに書き写し、またもや満点に近い点をとった。

こうして、高校を卒業するまでの試験は全て満点、大学も超難関国立大学に、ほぼ満点で入学した。

こうして、僕の人生は、順風満帆にスタートした、という夢をみた。

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未来めがね 肩ぐるま @razania6

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