40歳独身。魔眼に開眼する
プラントスクエア
第1話 3つの鍵と魔眼
その男の名前は田中
「本当に大丈夫かよ?ちゃんと家帰れんのか?」
「らいりょうる!らいりょうる!じぇんじぇん酔ってにゃいから!にゃははは!」
「・・・完全に酔っぱらってますね・・・どうします?・・・」
「まあ、こいつの家ここから遠くないし・・・大丈夫だろ・・・」
そう言って飲み会はお開きとなり各自で帰宅した。それが運命の分かれ道だった。
ベロベロに酔った努は帰り道ではない人通りのない小道に入っていく。すると見覚えのない露天商を発見する。
「ウィ~・・・ヒック・・・・・・うう?・・・」
店の人間は髭を蓄えたお爺さん。酔っている努はお爺さんに絡みに行く。
「お爺さん!こんな時間にこんな場所だと人は来ないで醤油!なんつって!」
絡まれたお爺さんは慣れているのか嫌な顔一つせずに努に応対する。
「そうじゃのう・・・中々人はこんな・・・じゃがそれでいいんじゃよ・・・」
「キャハハ!?人が来ないと売れる物も売れないじゃん!?売るきナイチンゲール?なんつって!」
「ならばお主が買ってくれんかのう?安くしとくぞい?」
「え?そう?じゃあ・・・」
商品を選ぼうとする努。しかし選ぶという行為が面倒に思えてきた努はお爺さんに任せた。
「お爺さんのおすすめを頂戴!それを買うよ!」
「儂のおすすめ?そうじゃのう・・・ならばこれなんぞどうかの?」
そう言ってお爺さんが努に差し出したのは赤・青・黄の3つの色をした鍵だった。
「か~ぎ~?・・・なんで鍵?インテリ~ア?的なテキーラ?」
「そんなもんじゃ・・・ちなみにこの鍵には意味があるんじゃよ」
「意味?鍵に意味?・・・お爺さんが作ったのそれ?それとも「赤い鍵は自身の才能の扉の解錠じゃ」。わ~かったよ。黙って聞きますよ~だ」
お爺さんが説明を続ける。
「青の鍵は他人の才能の扉の解錠じゃ。ただし使えるのは3回までとなっておる。そして黄色の鍵は異世界との扉の解錠じゃ。使えるのは往復のみじゃから気を付けるんじゃぞ。分かったかの?」
そう言ってお爺さんは努の手に3つの鍵を乗せる。
「・・・それってどこの国のやつ?鍵にそんな意味を込めた国って聞いたことないんだけど?」
そう言って手の上にある鍵を見てから顔を上げればもうそこにはお爺さんはいなかった。
「・・・もう酔いは無くなってきたんだけどな・・・まだ酔ってんのかな?」
お爺さんとの不思議な会話によって酔いがさめてきていた努。酔っているために見た幻の類かと思うも確かに手の中に鍵がある。
「・・・帰るか・・・」
そう言って努は家へと帰った。不思議なお爺さんから貰った鍵を持って。
*****
翌日
昼に起きた努。
「頭イテー・・・昨日飲み過ぎたか・・・」
酔うと人格が変わるようになってしまう努。お酒を飲み過ぎたために二日酔いに会い起きてからずっと頭が痛かった。
「・・・そう言えば昨日の鍵は・・・」
昨日の事が幻なのか確認するために鞄の中を確認すると確かにそこには3色の鍵があった。
「・・・じゃあ・・・昨日のお爺さんは・・・」
鍵があるという事は記憶に間違いはないという事。ならば突然消えたお爺さんは何だったのか。少しの恐怖を覚える努。
「・・・幽霊?神様か?・・・そう言えば3つの鍵には意味があったな・・・何だったか・・・」
記憶を遡りなんとかそれぞれの鍵の意味を思い出した努は赤い鍵を手に取る。
「・・・自分の才能の扉を解錠する鍵・・・そんな漫画みたいな事が起こるわけが・・・・・・」
否定しながらも努は赤い鍵を使ってみることにした。
「・・・どうやって使うんだ?・・・自分の才能の扉の解錠なら自分に使うのか?」
思い付きで自分のお腹に当ててみる努。すると現実にはあり得ない出来事が起こった。
スー
「な!?か!?鍵が!?」
なんと鍵が努の中へと入っていったのだ。
「なんで鍵が身体の中に!?」
混乱している努。しかし次の瞬間なにかの音が身体の中からした。
ガチャ
ブオウウウウ!!
それはまるで身体の中を風が通り抜けるような感覚となり、そして努の身体に変化をもたらした。
「・・・な・・・なんだったん・・・だ・・・・・・
努が見える景色がそれまでと一変していた。努の目にはモヤモヤの中に丸いものがある不思議ななにかが空気中を漂っているのが映っていた。
「・・・なにがどうなって・・・」
固まる努。周囲を見渡していた努は鏡を見たときに自身の眼が赤い模様と青い模様の眼になっていることに気が付いた。
「・・・なんじゃこりゃああああああ!?」
こうして努は赤い鍵の効果によって自身の才能の扉が開き
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます