少年と都市伝説のナゾ
夜明け
口裂け女
ゆいか「もー!なんでこんなことになってるのよー!」
中学1年生の野沢 結花(のざわ ゆいか)は急いで家へ帰っていた。放課後、学校でクラスメイトの近藤 朋花(こんどう ともか)の怖い話を聞いていたら帰りが遅くなってしまったのだ。ともかは人に話を聞いてもらわないと気が済まないため、ゆいかは仕方なく聞いたのだ。
ゆいか「あともうちょっとで塾なのにー!」
ゆいかは帰りながらともかの話を聞いたことを後悔した。しかし、もう遅い。今は急いで帰るしかない。ゆいかは走る足を速めた。
ゆいか「ふぅ…なんとか間に合った…かな?」
ゆいかは塾に着いて席に座り、大きなため息を吐いた。こんなに走ったのは久しぶりだ。息が上がっている。そんな息を整えながら時計を見る。時刻は18時57分だ。塾は19時から始まる。ギリギリセーフだ。
ゆいか「良かったぁ〜…!」
ゆいかはホッとして椅子の背もたれに寄りかかる。
ゆいか「…ともかちゃんが言っていたのって本当にいるのかな?」
ふと、ともかから聞いた怖い話を思い出した。それは"口裂け女"の話だ。
口裂け女は赤いコートを着た女の人でマスクをしている。そして、口裂け女は「ワタシ…キレイ…?」と聞いてくるらしい。それに対して「キレイですよ」と答えると「コレデモカァァァ!」と言ってマスクの下を見せてくる。そのマスクの下にある口は耳元まで裂けているらしいのだ。
ゆいか「そんな人いるはずないよね〜」
ゆいかはふっと笑った。悪魔でも都市伝説だ。都市伝説などこの世に存在するはずがない。そんな話を信じるともかが可愛く見えた。
その時、塾の講師が来た。ゆいかは授業の準備をしていなかったことに気づき、慌てて準備した。
ゆいか「はぁぁ〜疲れたぁ〜!やっと終わったよ…!」
21時、ゆいかは無事塾を終えて、外に出た。夜も遅いため外は暗く、親が迎えに来ることになっている。しかし、塾から駐車場まで1分ほど歩かないといけない。
ゆいか「なんで駐車場までこんな歩かないといけないんだろ、近くに作れば良かったのに。」
ゆいかはいつも通り文句を言いながら駐車場へと歩く。駐車場への道は塾を出て右の道を真っ直ぐ進み、突き当たりで左に曲がり、3つ目の曲がり角まで真っ直ぐ行くのだ。しかし、どの道も細い道で所々にある街灯が頼りだ。
ゆいか「…ここ、暗いから怖いんだよなぁ…まぁ何回も歩いてきたから慣れたけどさぁ」
慣れたと言えども怖いものは怖い。また、ともかから怖い話を聞いたせいで怖さが少し増していた
ゆいか「はぁ、怖い話は塾のない日のお昼頃に聞くのがいいかもなぁ。ともかちゃんにこれお願いしないと」
そう独り言を言っている間に突き当たりまで来たため、左に曲がった。すると誰かとドンっとぶつかってしまい、ゆいかは尻餅をついてしまった。
ゆいか「あっすみません!」
ゆいかはお尻をさすりながら顔を上げた。すると目の前には赤いコートを着た長い髪の女性が立っていた。女性はマスクをしている。
ゆいか「え…」
ゆいかはまさかと思い、慌てて立ち上がって後退りをした。
ゆいか(あれって…口裂け女?!)
ともかの話から考えるとそうとしか考えられない。でも、信じられなかった。
ゆいか(も、もしかしたら、たまたま口裂け女と同じような服装なだけで普通の女性かもしれない!勝手に疑うのも良くないよね…!)
ゆいかは自分を落ち着かせてもう一度、「すみません」と謝った。すると女性はゆいかを見つめた
女性「ワタシ…キレイ…?」
ゆいか「え…それって…」
口裂け女が言う言葉だ。しかし、もしかしたら自分がぶつかってきたことを怒って怖がらせているだけなのかもしれない。ゆいかはそう思い、微笑んで女性を見つめた
ゆいか「さっきは本当にすみませんでした。貴女はとてもキレイな方ですよ。」
すると女性は、耳に手をかけた。そして勢いよくマスクを外した。
女性「コレデモカァァァ!!」
女性はマスクの下を見せる。女性の口は耳元まで裂けている。彼女は本物の口裂け女だったのだ。
ゆいか「っ…!」
ゆいかは悲鳴を上げそうになったが、悲鳴を上げると殺されると思い、必死に堪えた。
口裂け女「コレデモ…キレイ…?ワタシ…キレイ…?」
ゆいか「き、キレイです!とてもキレイですよ!」
口裂け女「フフフ…」
ゆいかの言葉を聞いて口裂け女は笑い、コートのポケットからハサミを取り出した。
口裂け女「ナラ、オマエモキレイニナロォォォ!!」
口裂け女はハサミをゆいかに向けて襲いかかった。
ゆいか「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ゆいかの悲鳴が町中に響き渡った。
しばらくして、その場所にとある少年がやってきた。その少年の頭にはツノが2本生えている。そして赤い目の左目には十字架が刻まれていた。
少年「あーあ、口裂け女にやられちゃったんだね〜」
少年の足元には血溜まりができている。
少年「かわいそーに。まぁ…こうじゃないと困るんだけどね」
少年は何故かうっすらと笑みを浮かべていた。血溜まりに手をかざすと左目の十字架が光った
少年「さぁて、次はどんなやつにしよっかなー」
少年は楽しそうにクルッと振り返ると、夜の暗闇の中へと去って行った。
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