第62話 超・常・決・戦 4
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降って湧いた『アガルタ』からの提案により、恐らくではあるが懸念は払拭されたと判断。……そうなれば、あとは『
とはいえ、一応は優位に立ち回れた相手である。警戒すべきは例の、首都圏をも射程圏内に収めているであろう長射程光線砲であろうが……そういうものが『ある』とわかっていれば、先んじた立ち回りも容易い。
それらしき予備動作が見られたら、防ぐように動けばいいわけであって。
つまるところ極端な話、例の長距離光線砲を使われる前にカタを付けてしまえば良いのだ。
『言うは易し』などという言葉もあるが、しかし実際のところ状況は悪くない。
確かに現状、私達の背後にはアガルタが控えており、まさに『虎の威を借るナントヤラ』ではあるのだが……そうでなくとも私達のような多用途自律探査機【ヴォイジャー】タイプが、派生機を含め三人も揃っているのだ。
その場の空気に流された結果とはいえ、あんなに調子に乗った名乗りを上げておいて……無様な真似など、晒すわけにはいかないだろう。
改めての接敵となる『
先とは異なり、それなりに習熟を経た【ジェミニ】の猛攻を耐えられるはずもなく、またこちらの守りを抜くことは叶わず。
巨大な
猛攻の合間、さりげなく周囲の様子を窺ってみれば……ひらひらと私以上に器用に、そして華麗に宙を舞う少女の姿。
両肩あたりに帯同浮遊する外装リール【クレメンタイン】より長大な
さらに視線を巡らせてみると……やや後方にて俯瞰しつつ蟲型ドローン編隊を侍らせ、流体金属【マーキュリー】を纏う小柄な少女の姿。
銀色の雫は装甲の亀裂や組織内部へと侵入を果たし、脆弱な内側から効率的に破壊する。
崩れかけた『
そこへ畳み掛けるように、再び押し寄せる赤熱の奔流。煮え立つ火口より溢れ出したマグマが山肌を滑り、まるで狙ったかのように『
数百度の溶岩は粘度を増してへばり付き、秘めたる高温による組織破壊をじりじりと続けていく。
……いや、どうやら本当に『狙っていた』らしい。
山肌を流れる溶岩の流れは、少なからず物理法則に反した進路で流れ込んでおり、恐らくは『アガルタ』の
日常会話に
そんな四者四様の猛攻に晒されては、もとより満身創痍であった『
構造がひときわ堅牢な体幹部、ならびに強固に繋がった頭部こそその形を留めているものの……現出直後の堂々たる様に比べ、その体積はもはや半分以下にまで削られている。
そうして物理的に結合を断たれ、
先の『
つまり……
霧消した変質魔力『ΓD-ARK』が再集束する前に、何らかの手段で『除去』してしまえば良いのだという。
「……とは言うが……大丈夫なのか? そんなもん飲み込んで」
――――『『カアサマ』は心配してくれます。わたしは嬉しく思いますが、わたしたちは『マヌハ』取り扱う日常的な概念、不安は関係ありません』
「…………そうか、安心した。ただ私の固有名詞に関してちょっと後でお話があるからな! ディンも!!」
『んへひゥーーーー!!』
――――『お話があるを理解しました。わたしは再び尋ねます。わたし個体を示す言葉を望みます』
「やっぱアレ本気なのか!?」
身体の中へと取り込んでしまい、周囲からの干渉を遮断するというものであるらしい。
個体間のコミュニケーションや周辺状況の感知、マントル内での游泳など、彼らにとって
そのため地上の生命体とは異なり、
……まぁ当たり前だろうな。地上の生命体が呼吸するための肺や、空気の振動を音として捉える聴覚を持ち合わせているようなものだろう。
つまるところ、私達が……例えば、大気中の酸素を呼吸によって取り込んでしまうように。
事実として、その対策案はバッチリしっかり
この様子ならば、あとの大本命……胴体部分を消却してしまっても、問題無いだろう。
奴の抱える未練も、後悔も、嘆き悲しみも、そこに込められた想いが理解できないわけではないが。
今の時代、この国はもう……そんな想いに支配されるべきではないのだ。
「
『了解。【
【
――撃てます』
「効率的だな!!」
奴の展開する対遠距離攻撃用防御力場の内側、度重なる損傷によって迎撃砲火の緩んだ死角から、私の持つ最大火力を叩き込む。
発砲準備が整うまで【マーキュリー】を展開し、文字通りの盾となってくれていたスーが退くと同時、眩い光の柱がついに『
滲み出る黒を押し潰し、食い破り、塗り潰し、白い光が黒鉄の巨体を削り取り……致命的な大穴を穿ち。
完全に動きを止め、爆ぜるように黒の粒子へと解けて、消えていく過去の怨念は。
この世に形を結ぶことは……二度と無かった。
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