怪英記外伝 ユウキリス伝説

宇宙の帝王

吸血鬼ユウキリスの誕生 その1

 半分砂漠半分草原に囲まれた町があった。鉄道とそこを走る機関車によってその町は物資の調達や交流は成り立ったいた。町を守る抑止力としては腕の立つ保安官が一人だけいた。

「イーハー! 校舎の修理はこんな感じでいいかい、先生?」

 黄色い上着でジーンズの似合うその男は、自ら直した建物をある女性に話しかけた。

「大丈夫です、ブレイ保安官。わざわざありがとう。」

「イーハー! いいってことよ。この村はほぼ俺の管轄みたいなもんだ。建物の補強も喜んでやるぜ。」

「保安官はやっぱりかっこいいね。」

 女性は称賛してると、二つの影がやってきた。

「いちゃいちゃしてんじゃねーぞ、税金泥棒の公務員共が!」

 狐っぽい男と大柄な男がやってきた。ブレイは大きくはぁーっとため息をしてから、言葉を発する。

「いい加減にしな。この前俺に挑んで どうなった?」

 この二人はこの町の近くの町に拠点を置いてるチンピラで、何度かブレイ保安官に戦いを挑むも返り討ちに合っていた。

「「ふふふ、俺たちの新しい力を、とくとみな!」」

 二人は声を重ねると 、あるものを正面に展開した。ブレイはすぐにその正体がわかった。

「魔法陣か! 即ち魔法攻撃! もちろん俺は抵抗するで!」

「どう抵抗…」

 狐っぽい男がどう抵抗するんだ? っと言い切ろうとした時に何かが彼に向かった。

「保安官が急接近した!」

 叫ぶ細身のチンピラに対して、ブレイは不敵に笑う。

「拳で!」

 ズドンっと保安官の重い一撃が、男に当たり、ぶっ飛ばした。それと同時に二つ発動された魔法陣の一つは消えた。当然仲間は動じた。

「てめえ! …魔法陣⁉︎ まさかてめえも魔法を見ない内に習得したというのか⁉︎」

「敵とみなした相手が生き延びた場合、どんな形であれ、成長をしないと思わないことだ。そうすると、不思議とこっちも成長と入念な準備をするもんだ。それに俺はよ〜、こう見えて用意周到な博学ちゃん。」

 ブレイはそう言うと、自信が造った魔法陣に手を伸ばし、魔法を発動し始めた。

「いでよ、枝釘の連弾ウッディ・ヘル!」

 ピュピュッと尖った物が無数に魔法陣から出てきた。チンピラはびびる。

「木の枝⁉︎ 」

 ぐさっ!

「ぐはっ!」

「ぎゃあああ!」

 尖った木の枝を何度も当たった二人の体は後ろに倒れた。ブレイは先生と慕われている女性に顔を向けて優しく微笑んだ。

「先生、こいつらは俺が連行する。今日はもう帰った方がいい。」

「でも保安官、人を呼んだ方が…」

「俺は正義の味方だぜ〜。心配ご無用。」

 ブレイはそう言って、先生をその場から離れさせた。

「さて…」

 ブレイは勢いよく跳んで、悪党二人の腹に片方ずつ足を乗せた。

「げえ!」

「ぐはっ!」

「遊びの時間だ。安心しろお前ら。また刑務所にぶち込もうなんて思っちゃいねえよ。」

 ブレイはそう言うと、両手にメリケンを構えた。

「お前らは死ぬまで、殴って、バラバラにして、川に捨てるからな!」

 この二人は人前に姿を現すことは二度となかった。

 ここはラウンドアップ。ブレイ保安官が守る町だ。

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