道に迷った人たち・・・@K奈川県庁 ―公務員のハラスメントと障害者差別―

霧野 ぬん

第1話 プロローグ

ちょっと一言。

この本に出てくる名前は、偽名です。

しかし、リタイア・自死した以外は、今、現実に県庁にいる人、あるいは携わっている人たちです。

本当は実名で書きたいくらい。

でも、名誉棄損とか言われると面倒だから、偽名で書きます。

ぬんは、今でもそのハラスメントをした人の本名も忘れていませんよ、しっかり覚えています。。


(参考)役職と年齢

ちょっと頭に入れておいてもらえれば。いかにぬんが差別されているかわかります。

主事・・・入庁からほぼ10年

主任主事・・・32歳ぐらいから3年間ぐらい

主査・・・35歳から3年間ぐらい

副主幹・・・38歳ぐらいから適宜

(ぬんはとっくに超えているが副主幹にはなっていない。)

主幹・・・42歳ぐらいから適宜

副主幹以上は、J事課の好みで人を選んでいく・・これが最悪な仕組みかな。


プロローグ

人間、勤めていればいろいろある。

そして、そのいろいろなことの90%が嫌なことである。

上司に怒られる。

嫌味を言われる。

「女性だから甘えがある。」と言われる。

出来ない奴と言われる。日常茶飯事である。

でも、「仕事上なのだから。」と言う名目がある限り、強烈に罵声も浴びせられていても、周囲からは「ぬんちゃん、また、面当てされているよ。」「課長、今日二日酔いだからじゃね。」で終わってしまう。

こんなつらい日々も生きていくための給料をもらうために仕方がない。

そんな30数年の記録をつらつらと書く。

今、同じような思いをしている人がいたら、仲間がいるんだと思ってくれればいい。


ぬんは、K奈川県に入って30数年経つ。

もちろんまだそのK奈川県にいるわけだが、K奈川県に入庁してよかったと思ったときは数えるほどしかない。

いや日にちにすれば数日である。

今更思うことだが、当県にある政令指定都市であるY市を選んだほうがよかったのではないかと思うことが度々だ。次々と伸び行くY市、それに比べ、旧態依然とした

K奈川県。

建物も古い。

今のこの状況を30年前に知っていたら、間違えなくK奈川県は選ばなかっただろう。

まあ、でももうあと少しでこの組織の人ではなくなるであろう。

それで「良し」としなければ。

でも、ここ3年間は、新型コロナウイルス感染症(以下、「コロナ」)による職場の人間社会を変えてくれて、義理でいかなければならない、うざったい面倒な飲み会を無くしてくれて本当に助かった。飲み会が職場からなくなったのだ。


〇そうだ、飲み会に行こう!

その飲み会の状況を少し書こう。

職場では、上司や上席の同僚が「飲み会できないって、がっかりだな。な、霧野さん。」と言われれば、「そうですね、落ち着いたら飲みに行きたいですね。」と作り笑いで答える。

しかし、本心は、「ちょうど良かった。私、飲み会なんて嫌いなので。」である。

はっきり言って、アルコールが飲めないぬんにとっては、義理で行かなければならない飲み会なんてはっきり言って辛いだけだった。

飲み会なんて、「無礼講、無礼講」と言いながら、結局は職場の続き以外何でもない。

そして、面倒な飲み会がやってきた。

最初は、いつも和気あいあい。

でも、少しアルコールが回ってきた上司が言うことはぬんに言うことは、「お前、もうちょっとしっかりしろよ。」であり、思いっきり肩をドンと叩かれる。

「はいっ、わかりました。はい。」

「霧野ちゃん、『はい。』は一回ね」、すかさず上司側に立って、ぬんの上席がすりすり言葉を入れる。

そのよう中、どざっと食べ物が載せられた皿が次々と運ばれてくる。

「うまそうじゃないか。じゃあ、何から食うかな。」アルコールでよどんだ少し赤い目の上司が、端の皿から端の皿までギロっと見回す。

結局、「今日は、無礼講。」のはずが、盛られてくる皿から初めに食べ物を取るのは当然上司である。

先に手を付けようとすれば、上司への気遣いに慣れている上席の中年女性が思いっきりこちらを睨み付ける。

そのうち、上司の飲み物がなくなりそうになってきた。

「気が利かない」と言われる前に、「ビール、ジョッキ3つ、急いで持ってきて。」と店の人に頼む。

しばしば、上司や上席の同僚の顔色を窺っていなければならない。

だから、決して楽しい飲み会ではない。

でも、その気遣いだけならまだましだ。

「あれ、霧野ちゃん、飲んでないねー。何、ウーロン茶なの。飲み会でウーロン茶なんて飲むなよ。テンション下がるよねー。飲み会と言えばさ、酒だよ、酒。ちょっとお姉さん。お姉ちゃん、こっちの女の子にジョッキ持ってきてくれる?」

(飲めないのに、飲まさせられるの???)

ジョッキが目の前に置かれると、「さあ、グイっと飲んで。」仕方なく一口だけ飲めば、「今、飲んだの?霧野様。『グイっと』って意味わかる?せめて半分は飲まないとねぇ。」やっとこすっとこ半分飲んだ。

やはりビールの味は嫌いだ。

アルコールを飲むと赤いぶつぶつもできる。

上司が360度のからジョッキを眺めながら、「半分か。仕事と同じで中途半端だよ。ね、ね。みんなそう思わない?」と大声で言う。

大勢の人のいろいろな会話の流れで、ひとしきり嫌味な時間は過ぎた。

飲む人たちはあまり食べない。

上司が食べ物をとった後は、まあ好きに食べられる。

飲んで、出来上がった上司の脈絡のない愚痴を聞きながら、自分の近くにおいてある皿からそおっと取って食べる。

ここまでは上司たちの汚いつばも飛んでないだろう。

好きな食べ物を上司から「ビール、お替り」と言われれば、お店の人を呼んで、ビール。

「もう『ぽんしゅ』だろ。」と言われれば、上司に熱燗か冷かを聞く。

「ぽんしゅと言えば、熱燗なんだよ。ほんと、おまえ、気が利かねえな。だから飲めない奴は嫌いなんだよ。」と言われながら、上司の熱燗を2本ぐらい頼む。あー、早く終わってほしい。

ただ、それだけ。

同僚はみんなピッチャーのビールを一人一つずつくらい飲んで、大声で騒ぎながら男女ともにじゃれあっている。

飲める人は楽しいのだろうな。飲む人にとっては、上司にも無礼講ができるのだろうな。

コロナで飲み会がなくなって本当に良かった。

飲みたい人は自分たちで勝手に行っているのだろうな、きっと。


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