学園一の眼鏡ブスと付き合ったら、中身は清純派アイドル様だった

華川とうふ

第1話 お前ら絶対お似合いだって~

「おい、絶対お似合いだって~」


 ぎゃははっと笑う牧瀬をはじめとしたクラスカースト上位の連中。

 彼らがさすのは、クラスで一番、いやこの学校で一番のブスといっても過言ではない女――水元鏡子がいた。

 校則通りに着用された制服は、見事にやぼったい。

 長い髪は無造作に黒いゴムで一本にまとめられている。

 そして何よりも、時代遅れの瓶底メガネで水元の顔はひどく歪な印象だった。

 人間離れしているという表現がふさわしいかもしれない。

 いい意味じゃなくて、悪い意味で。

 水元は虚構の存在、そうアニメとかドラマにでてくるみたいな印象を抱かせるのだ。

 血の通ったクラスメイトではなく、馬鹿にしてもいい不細工なキャラクター。

 俺は心のどこかで水元を見下していた。

 いや、俺だけじゃない。

 みんな見下していると思う。

 だから、カースト上位の連中に俺と水元がお似合いだと言われたときは、寒気がはしった。


 だって、そうだろう?

 やっとのことで、一軍の連中に近づくことができたと思っていたのにやつらから見れば俺と水元は同類だと思われていたなんて……あまりに残酷すぎる。


 ただ、俺はこの場の空気を白けさせるのも怖くて何も言えなかった。


「水元とお前って本当にお似合いだと思うよ」


 カースト最上位のクラスメイトの牧瀬がまっすぐと俺を見つめていった。

 牧瀬は女子から学園の王子様と言われている。

 身長は高いし、勉強も運動も苦労なんてしたことない。そして何より顔がいい。

 誰にでも優しい学園の王子様だ。

 牧瀬には俺の気持ちなんて分からないだろう。


 転校してきた俺は、苦労して一軍の付近にいられるようになった。

 見た目も清潔感があってさわやかな印象を与えるように。

 勉強は馬鹿だと格好悪いので、得意科目は大いに伸ばし苦手科目もそれなりにという戦略。

 流行りとかについてもある程度情報を得られるようにアンテナを張る。

 そんなことを意識して、俺はやっと準一軍の座にありついた。


 牧瀬には分からないだろう。

 底辺になりうる俺の気持ちなんて。


 学園の王子である牧瀬には彼女がいる。

 それもものすごく美少女だ。

 牧瀬の周りの連中もみんな彼女がいる。

 不思議なことに彼女たちは、みんな美少女にしては珍しく眼鏡をかけていた。

 一軍男子たちは牧瀬をはじめとして眼鏡フェチなのだろうか?


 そんな牧瀬に、学園一のブスメガネの水元と俺がお似合いだと言われて、俺は力なく笑うことしかできなかった。

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学園一の眼鏡ブスと付き合ったら、中身は清純派アイドル様だった 華川とうふ @hayakawa5

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