僕の奥さんはデスゲームで稼いでいる

ぺけらんど

第1話デスゲーム中ですが月が綺麗ですね。

「結婚してください。」

それが彼女と出逢って一番最初に出た言葉だ


「はぁ~今日も憂鬱だ」

今日この退屈な日々を平凡に送っている

「あぁ~なんかおもれぇことでもおきねぇかなぁ?」


「まぁ、腹減ったしラーメン食いにいくか」



「うん。いいね彼。」

天月 薫(あまつき かおる)は平凡である

さほど頭がいいわけでもなく

何か才能があるわけでは無い

平凡な日常を送っている

それは

それはあまりにも

「可哀想ではないか」

彼はこんなにも刺激を求めているのに


「支配人。ご準備を」


「あぁ、今行く」



「ふぅ~食った食った

さて家に帰るとするかぁ」

自転車をこいで坂道をくだる

ふと目の端に入る

ホームレスが高校生に

殴られ

蹴られているところが


「いいなぁ~」

俺も出来たらと心底思う

「あっやっべぇ。さっさと離れないとまた問題起こしたらどうなるもんか」

俺の親は父は医者。母は教師だ。

親は俺に医者か教師になって欲しいらしい

別に文句も何も無いのでそうなるつもりだ


そう

親の敷いたレールを歩くつもりだったのだ


「ふぃーやっと家についた」

ふとポストに目をやると一通の手紙が入っている

「んぁ?なんだこの手紙」


《デスゲーム招待状》

天月 薫様

22時貴方の家の前で待っています。

参加する場合は来てください。

不参加でも何も問題はありません。

デスゲームで優勝した場合は賞金もありますので。

私ら一堂、貴方様のご参加を楽しみにしております

デスゲーム運営


裏面にもなにか書かれていた


《君は必ず来るよ。だって化け物だもの》

支配人より


何を言っているんだ?

この手紙は?

バカバカしい、参加するわけないだろ?

不参加でも問題は無いんだ

けどまぁ。賞金は必要だよな

これは仕方の無いことだ

「うん。仕方の無い事」


この時の自分はどんな顔をしていただろう


天月は顔を手で隠す


その顔は誰から見ても明らかに異常なほど

笑っていた


~22時~

「よし。いくか」

自分の家の窓から外を見ると

黒い車両が止まっている


笑みがこぼれる

いや止まらない


この気持ちを胸に玄関を開ける


「お待ちしておりました。天月様。」

そこにはスーツを着た老齢のじいさんがいた

「参加する前に1つお願いがあるのですが。情報秘匿の為、この睡眠薬を飲んでいただきたいのです。」

老人はそう言い薬を1つ手から渡して来る


貰ってすぐ

僕は迷わず飲んだ

そして自分の意識が手放されていく

「おやおやこれは。逸材ですな。」

最後に老人がそう言った気がしたがよく分からない


目覚めるとベッドに寝かされていた

周りを見渡すとそこは水族館のように水と魚で囲まれていた


「こりゃ、出られねぇな」

心底そう思う

楽しいな


起きると横に紙が置かれていた


【見守るものを食うべからず】

と書かれていた


「ふ~ん」

「まぁ外に出てみるか」


扉を開ける

開けたところはホールになっていた

大きい机があり

6席の椅子がある

そして

魚や肉、野菜など色々な料理が置かれている

普通の場所だ


『ただ一点を除けば』

ホールの真ん中で彼女は踊っていた

満面の笑みで

片手に生首を持ち

血まみれになりながら

踊っていた


「あら?また1人お客様が来たみたい!」


「私謎解き系は嫌いなの!だから貴方も死んでくれる...?」



あぁ...美しい。

僕は思う

なんて自由で美しいんだ。

とても羨ましい。

とてもとても手に入れたい。


「結婚してください」


「ふぇ?......え?」

え?え?え?と彼女は繰り返している


「身も心も貴方に捧げます。私は何があっても貴方の味方です。デスゲームにおいて奴隷は必要でしょう?」


「私に言ってるの?」


「貴方以外に誰が?」


「信用出来ない」


「そうですか、では何したら信用してくれます?」


「指切り落として」


「仰せのままに」

僕は指を切り落とす


「あぁっ...ぐっっ...」

想像以上に痛いかも


「あははは!貴方馬鹿じゃないの?」

彼女は笑う

そのオッドアイの瞳をゆらして


「っっ...貴方...を愛してる...からですね」

恋は盲目よく言ったもんだ


「わかった。結婚する!」


「え?」


「え?ってなによ貴方が言ったんじゃないの」


「いやぁ...本当に結婚してもらえるとは...」


「はぁ?何?貴方確証がなかったのに指切ったの?本当に馬鹿ね」

そして彼女は僕の切った指をさして言う

「それにしてもそれじゃあ結婚指輪はめられないじゃない...なんで薬指切っちゃうのよ」

信じらないと彼女はぷんすか怒っている


「う~ん、確かにそうだ。けどこれは貴方との愛の証明なので」

僕は笑った


「貴方、指切られてて笑うなんて相当狂ってるよ?まぁそういうとこ好きだけど...」


ちょっとキュンっとしたわ...

可愛いな


「貴方名前は?」


「天月...天月 薫」


「そう。私は灰月 白(はいづき しろ)っていうのよろしくね!」


「あぁ...よろしく」


本当に馬鹿みたいな結婚だと自分も

心底そう思う



「支配人。男の参加者が来るのは久しぶりですね。」

「スポンサー達が女がいいからって事で男を出さないようにしてたんじゃないんですか?」


飴を加えた

支配人と呼ばれる男が椅子から振り向き言う


「ん?あぁいや?全然違うよ?あのおっさん達は確かに女好きだけどさ」


『彼はね狂ってるから参加させたんだよ。』


「本当に馬鹿みたいにね」

そう支配人は笑う


「あぁこれから楽しみだ」

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