第12話 朝日奈とデート⑥
「着きました。ここです」
「なんというか、予想はしてたけど、デカい家だな」
朝日奈の家は俺の叔父の家に負けないくらいの広さの家だった。
叔父の家が西洋風の豪邸なら朝日奈の家は和風の屋敷といった感じだった。
「少し待っていてください。家の者を呼んできますので」
「分かった」
朝日奈は木製の門を開けて中に家の中に入って行った。
(てか、ちょっと待て。なんとなくで送ってもらうことに頷いたが、家の人って両親のどっちかだったりしないよな?)
そんな懸念をしていたが、戻ってきた朝日奈の隣にいたスーツ服姿の女性を見て杞憂だったと思った。
「お嬢様。車を動かしてきますので少しお待ちください」
「お願いします」
スーツ姿の女性は俺と朝日奈に頭を下げると車と取りに向かった。
「ということなので、もう少しお待ちください」
「分かった。てか、ご両親が出て来るかと思ったぞ」
「残念ながら父も母も海外出張中ですので家にいません」
「そうなのか」
「はい」
高級車が俺たちの前に停まった。
運転席からさっきのスーツ姿の女性が降りてきた。
「お嬢様お待たせしました」
スーツ姿の女性は後部座席の扉を開けて朝日奈に乗るように促した。
「永海さん。お先にどうぞ」
「分かった」
朝日奈に先に乗るように言われたので俺は先に後部座席に乗った。
朝日奈もすぐに反対側から後部座席に乗った。
「それでは美空さん。よろしくお願いします」
「かしこまりましたお嬢様」
「永海さん。美空さんにお家の住所を教えてあげてもらってもいいですか?」
「分かった」
俺はが自分の家の住所を伝えると美空は車を発進させた。
「永見さんはご家族の方と一緒に暮らしているのですか?」
「いや、今は愛理と一緒に暮らしてるな」
「そうなのですね」
〈やっぱりお二人はお付き合いをされているのでしょうか?〉
「俺、両親いないからな」
「えっ?」
「去年、交通事故で亡くなったんだよ」
「・・・・・・そう、なのですね。すみません。そうとは知らず」
「いいよ。気にするな。言ってないのに知ってるわけがないからな」
こうして両親が亡くなったと口に出しても今の俺は気落ちは全く揺らぐことがなかった。
向こうの世界に行く前の俺だったら、両親が亡くなったということを考えるだけで、絶望して死にたくなっていた。
でも、今は違う。
向こうの世界で何十年も生きて、心が成長した。
実質、こっちの世界に戻ってきた俺は二週目の人生を送っているのと同じだ。
あの日、止まったてしまったはずのもう一人の俺の時間が動き始めた。
それは神様の気まぐれか、何なのか分からないが、こっちの世界での人生をもう一度与えてくれた神様に誓って、死ぬその時まで人生を楽しもうと思っていた。
「だから、今は叔父の家の使用人の愛理と一緒に暮らしてるんだよ」
「そうだったんですね」
「なんなら、朝日奈も一緒に住むか?」
「えっ?」
「部屋はいっぱいあるし、全然一緒に住めるぞ」
さすがにこの提案には乗ってこないだろうなと思いながら俺はこの提案をしていた。
「少し考えさせてもらってもいいですか?」
「えっ・・・・・・もちろんいいけど」
予想外だった。
まさかそんな返事が帰ってくるとは思ってなかったから驚いてしまった。
「ありがとうございます」
「まさか、考えさせてくれなんて言われるとは思ってなかった」
「私も自分でもそんなことを言ったことが不思議です。どうしてでしょう?」
「さぁ、俺には分からないな」
「そうですよね」
朝日奈はその理由を考えるように顎に人差し指を当てた。
その姿はあざと可愛かった。
朝日奈は俺の家に到着するまでその理由を考えていた。
☆☆☆
俺の家に到着した。
「送ってくださりありがとうございました」
俺は運転席の美空に向かってお礼を言った。
「いえ」
美空はチラッとだけバックミラー越しに俺を見てそう言った。
「じゃあ、また月曜日な」
「はい。今日はありがとうございました。楽しかったです。また月曜日にお会いしましょう」
俺は車から降りた。
車が見えなくなるまで朝日奈に手を振り続けた。
今日は朝日奈の俺に対する好感度をかなり上げることができたし、天羽と水谷という新しいハーレム候補に出会えたし、藤宮のエロい体を堪能することができたし、大満足の一日だった。
また明日からも人生を楽しむ。
いつ死んでも後悔しないように。
そう思いながら俺は家の中に入った。
☆☆☆
次回更新4/18(木)
朝日奈とデート編 了
次回は「双子美人との出会い」編になります。
お楽しみに~!
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