第4話 入学式編④

「生徒会長挨拶。星雲沙羅ほしぐもさら

「は~い」


 名前を呼ばれた星雲沙羅という女子生徒は軽い返事をして立ち上がり、ステージ上に上がった。

 

(あの人が生徒会長か)


 黒髪のストレートヘア、美人系の顔、モデル並みの抜群のスタイル、俺が向こうの世界で出会った生徒会長にも負けず劣らずの圧倒的なオーラ。

 星雲のことを見た瞬間に俺は星雲のことを四人目のハーレム候補にしようと思った。


「あ、あ~」


 壇上の前に立った星雲はマイクの調子を確認すると俺たち新入生のことを見渡した。


「新入生諸君入学おめでとう! 私がこの学園の現生徒会長の星雲沙羅だ! よろしく! さて、私からは君たちに一言だけ言わせてもらおう。死ぬその瞬間まで自分の心がワクワクすることを探し続けろ。この言葉は私がこの世で最も尊敬する先輩から言われたもので、今でも私の心の支えになっている言葉だ。もしも、何か辛いことがあった時に、高い壁にぶつかって挫折しそうになった時に、何もかもが嫌になって死んでしまいたくなった時にこの言葉を思い出してほしい。人生にはたくさんのワクワクで満ち溢れている。心の底からワクワクすることに出会えた時、君たちの人生は本当の意味でスタートするだろう。だから、この三年間の高校生活を思いっきり楽しんで、心の底からワクワクすることを探したまえ! そのためだったら私はいつでも相談に乗るし、君たちの助けになるつもりだ。いつでも生徒会室で待っているぞ。では、これにて私からの挨拶はこれで終わらせていただこう」


 星雲は俺たちに向かって笑いかけるとステージ上から下りて自分の席に戻った。

(自分の心がワクワクすることを探し続けろ、か。なかなかいいことを言うな)

 確かにそれは人生において大切なことだ。

 何のために仕事をするのか、何のために勉強をするのか、何のために生きるのか、何かをするにしても自分の心がワクワクしていないと意味がない。

 心がワクワクしていないことをするのは死んでいるのと同じようなことだ。

 俺はそのことを向こうの世界で体感して知っている。

 なにせ、向こうの世界では寿命が尽きるまで生き抜いたからな。 

 向こうの世界では常に心がワクワクしていた。

 だから、寿命が尽きるその時まで幸せだった。

 こっちの世界でもそうでありたいと思っているし、そうなるようにするつもりだった。

 それから入学式は無事に終わり俺たちはそれぞれの教室に戻った。


☆☆☆


「皆さん。入学おめでとう。このクラスの担当をすることになった藤宮彩ふじみやあやです。これから一年間よろしくね」

 

 入学式前に教室に入って来た女性教員がどうやら俺たちのクラスの担任だったらしい。

 名前は藤宮彩。

 年齢は二十代後半くらい、黒髪ロングヘアで美人系の顔。いかにも男子生徒から人気そうなセクシーな雰囲気を醸し出していて、服装も教師とは思えないほどラフで、白いTシャツのジーパンだった。

 ラブコメ小説ならエッチなお姉さんポジションになりそうなと思いながら俺は藤宮先生のことを見ていた。

 

(この人もハーレム候補に入れとくか) 

 

 向こうの世界でも何人もの先生を俺のハーレムの一員にした。

 こっちの世界では何人の先生をハーレムの一員にすることができるか楽しみだ。 

 

「それじゃあ、とりあえず自己紹介でもしましょうか」


 自己紹介は出席番号順に名前、趣味、好きな○○、学園生活に向けての一言を言うことになった。

 出席番号一番の生徒から自己紹介が始まった。

 俺はクラスメイト達の自己紹介を聞きながらハーレム候補になりそうな女子を品定めしていた。 

 

「じゃあ、次は朝日奈静葉さん」

「はい」


 朝日奈は椅子から立ち上がった。

 朝日奈の席は教室の真ん中だった。

 

「朝日奈静葉です。趣味は料理と読書と華道です。好きな教科は国語です。皆さんと仲良くなりたいので、たくさん話しかけてくれると嬉しいです。一年間よろしくお願いします」


 俺は朝日奈の趣味と好きな教科を頭の中にインプットした。

 朝日奈は二人目のハーレム候補なのでこういう情報は重要だ。

(それにしても趣味が料理と読書と華道ってイメージ通りだな) 

 家柄とか育ってきた環境とか知らないけど、朝日奈の雰囲気とピッタリな趣味だなと思った。

 それから数人クラスメイトの自己紹介が終わり次は楪の番になった。


「じゃあ、次は楪陽子さん」

「は~い!」


 楪の席は廊下側の一番後ろだった。

 

「楪陽子です。趣味はアニメと漫画かな~。好きな教科は、これといって特にないけど、強いて言うなら英語かな~。学園生活を思いっきり楽しみたいと思ってるからみんなよろしくね~!」


 趣味がアニメと漫画っていうのも意外だったが得意な教科が英語というのも意外だった。

 見た目から勉強は得意そうに見えなかったが案外そんなことはないのかもしれない。

(まぁ、白樹学園に入学しているくらいだもんな)

 楪は俺に向かってウインクをしてから席に座った。

 それから数人のクラスメイトの自己紹介が終わり俺の番となった。

 

「じゃあ、次は永海天斗君」

「はい。永海天斗です。趣味は」


 趣味は朝日奈と楪に合わせることにした。

 

「読書とアニメを見ることです。好きな教科は」


 好きな教科は藤宮先生に合わることにした。


「数学です。よろしくお願いします」


 俺は手短に自己紹介を終えた。

 そして、最後の一人になった。

 

「じゃあ、最後は沖田直弥君」

「はい!」

 

 沖田は元気よく返事をして立ち上がった。

 

「沖田直弥です! 趣味は剣道! 好きな教科は体育! このクラスの全員と友達になるつもりなのでよろしく!」

 

 終始元気な自己紹介をした沖田は眩しいくらいの笑顔をクラスメイト達に向けた。

(あれは人気者になるな)

 顔もイケメンだし、爽やかだし、明るいし、まさしく陽キャを体現しているかのようだった。

 

「はい。じゃあ、今日はこれで終わりだから気を付けて帰ってね~。明日から部活動見学も始まるから一週間以内に自分の入りたい部活動を決めてね。改めて、みんな一年間よろしくね。楽しい学園生活にしましょう!」


 そう言い残して藤宮先生は教室から出て行った。

 藤宮先生が出て行くとクラスメイト達は帰宅する人、友達作りをする人に分かれた。

 俺は友達作りには興味がないため帰る準備を始めた。

 ハーレム作りは自分から声をかけて作るより、運命に任せた方が面白い。

 その方が面白い。

 今朝の朝日奈の時のように。

(このスキルたちを持っていたら俺の思いのままだからな)

 そんな朝日奈の周りには朝日奈と友達になりたいと思っているクラスメイト達が集まっていて、楪の周りにもクラスメイト達が集まっていた。

 クラスメイト達と楽しそうに話をしている二人を横目に俺は教室を後にした。

 

☆☆☆


 入学式編  了

 次回更新 4/8(月) 「部活動見学編」になります。

 お楽しみに~!

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