盾職に相応しい、実直な足運びの物語

創作畑は今や何でもチートやスキルで解決する時代……と書き出してから、中世・近世の人間にしてみれば現代の科学はそれこそチートやスキルであろうと思い至る。それでも「老い」への解決は未だに牛歩と知れば、彼らも肩を落とすのではないだろうか。

剣の間合いは、我々が感じる以上に短い。こちらの剣が届くということは当然相手の剣も届くのが道理で、一瞬のミスが文字通り命取りとなる。前衛・盾職の落命はそのままパーティの壊滅に繋がり、主人公である重戦士の焦りも当然だろう。

そんな重戦士に解決策を安易に提示せず、ある種の”諦め”を抱かせる。しかしそれをきっかけに初心へ帰ることで、もしかすると最初から持っていた本当の”目標”へと至らせる。
盾職に相応しい、実直な足運びを思わせる物語だ。

ところで眼鏡の起源は13世紀、バリバリ十字軍の時代です。もしかしたら資料に残っていないだけで、眼鏡をかけた騎士も史実にはいたかもしれませんね。私が甲冑を着る時は流石にコンタクトレンズで済ませていますが。