ドラゴンと少女とお父さん
本日二話公開します(2/2)
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「おとーさん、りあもんでたの?」
「ん~? みたいだなぁ」
どこにでもある閑静な住宅街。そのうちの一つの家の中で小さな父と娘の交流があった。普段は仕事が忙しくなかなか娘が起きているうちに帰ってこれない父だが、今日は休みなので思う存分親子の絆を育めるだろう。母曰く娘もいつもよりゴキゲンなようだ。
そんな親子の中で最もホットな話題はやはりリアモンの出現についてだろう。テレビでは連日リアモン関連のニュースで溢れ、若いアナウンサーは心なしか楽しそうに、番組の脇を固める初老のアナウンサーは苦笑いと反応が世代で対照的なのが印象的だ。コメンテイターはリアモンを受け入れつつもその危険性を憂いており、コンビ芸人は逆にボケにメリットを混ぜ込んで現場を沸かせている。
『実際どうなるんでしょうねぇ、日本は』
『日本どころか世界で、ですね。現在クレイジーゲームスはリアモンの全情報を全世界向けにHPにて公開しており、おおよそそれぞれのリアモンの対処法を知ることができるようになっています。それにより情報の行き違いからの混乱はそれほどないようですが……』
『まぁ
『お前どうした? 熱でもあるんか?』
『ドやかましいわ!!』
\ドッwwww/
そんなワイドショーを横目に娘はつい半月前に買って貰ったオモチャに夢中だ。今まさにタイムリーなリアモンのオモチャで、劇中に登場するアイテムを再現した『DXリアライズガン』だ。銃本体とカートリッジが数個ついており、装填したカートリッジを認識して鳴る音が変わるというDXオモチャとしてはオーソドックスなものだ。ちなみにカートリッジは拡張アイテムとして様々なバリエーションが別売されており、子どものみならず大きなお友達もこぞって買い集めている。その内
親子とはいえ世代が離れていても共通するコミュニケーション道具は貴重だ。子育て世代はリアモン、アンパン男、未来から来た青いたぬもとい猫型ロボット、嵐を呼ぶ五歳児などには非常にお世話になっていると言えるだろう。逆にこういった子ども向けのアニメなどが大人の視点になってみると意外に面白くて大人の方がハマるという逆転現象も起きるようだ。
閑話休題。
そして今娘が遊んでいるオモチャが日本に、いや世界に大きな影響をもたらすことになろうとは誰も知るよしもなかったのである。
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それから一週間後、今日は親子三人で車で少し走った場所にある広めの公園にピクニックに来ていた。休日故に自分たちと同じような親子連れがたくさん来ており、ヤンチャ息子に振り回されダウンした父母や、犬に散歩
騒がしいよそ様の子どもさんにウチはおとなしめな
「さて、と! 何で遊ぼうか!」
「あっちの、あれ!」
「じゃあお母さんはここでシート広げて待ってるから」
娘が指さす方向にはなかなかにハードそうなアスレチック風味の遊具があった。早々に撤退宣言したお母さんは英断だったろう。お父さんは知らなかったのだ。このくらいの子どもの体力は無尽蔵だということを。そしてその体躯故すばしっこく大人ですら追いつけないことすらあると。お母さんに宝物を預けて、親子はいざ冒険の旅へ出発した。
しばらくたってお昼時。お母さんが荷物番をしていたシートにはお母さん手作りのお弁当。ウキウキの娘はちょこんとお行儀よく座り、お父さんはべたりとお行儀悪く突っ伏してダウンしていた。お父さんは体が大きいので胸から上までしかシートに乗せられず、後の部分は芝生の上にぐでんと投げ出されている。お父さんの背中辺りを大きめのアリンコが悠々と歩いていたが、お母さんが無慈悲にデコピンで吹き飛ばす。これからごはん時なので許してほしい。
「ホラあなた、いい加減起きて。お弁当よ」
「うぅ……ナメてた……」
「私に何か言うことない?」
「いつもありがとうございます感謝してます」
「よろしい。はい除菌シート」
そして小一時間後。親子三人は弁当を食べ終えゆったりとした空気を楽しんでいた。お父さんは血糖値の上昇と疲労でウトウトし、お母さんは注意力散漫なお父さんの代わりに娘を見守り、娘は改めて取り出したリアライズガンをガチャガチャしている。
と、にわかに周囲が騒がしくなる。この公園の程近くにスタジアムがあるらしいので、そこでスポーツの試合でもやっているのだろうか。刹那、ひときわ大きな悲鳴が響き渡った。親子三人も思わず悲鳴の聞こえた方向を見ると、そこには現実世界ではありえない生物が狂暴そうな咆哮を上げていた。
『『『ネギャァァァァァン!!!!!!!!!!!!!』』』
体長三~四メートルのドラゴン型のリアモンだ。青々とした緑色の首三つに凶悪そうな顔が牙をむき、玉ねぎのような体が二つ
ファンタジーの花形であるドラゴンになにをトチ狂ったかネギをモチーフに混ぜ込んだ、ゲーム本編でも猛威を振るう強モンスターの一角。
『ネギドラゴ』が咆哮を上げていたのだ。
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ネギドラゴ(アリルリークドラゴン成体)
属性 木・竜
ギボドラ(アリルリークドラゴン幼生期)、ワケギドラ(アリルリークドラゴン成長期)を経て最終段階まで至ったドラゴン種の成体。基本的にドラゴン種は最終形態である成体にまで成長できるのは一握りの強者であり、このドラゴン種も例に漏れない。
特徴的なのは雫型の下部を繋ぎ合わせたような胴体から伸びる三つの頭で、それぞれの口から『アリルブレス』というネギドラゴ専用ブレスを吐く。このアリルブレスは広範囲に強烈な催涙効果を与えるだけでなく可燃性もあり、ネギドラゴは歯を打ち鳴らすことで火花を散らして着火することで相手に強烈な火ダメージを与えることもある。
また他のドラゴン種にはない特徴として、他のドラゴン種が飛行する際には背中の翼で羽ばたくことで飛行するのに対して、ネギドラゴは背中の青ネギのように枝分かれした筒状の翼の先端の穴から空気を勢いよく噴射することでジェット機のように飛行する。またアリルブレスを翼の噴射でさらに超広範囲にバラまいてデバフをまき散らしてから着火し焼き払うという凶悪な戦法も使用する。
実はこの三つの頭には脳はなく、脳に当たる器官は上半身に、心臓は下半身に当たる部分にあり、頭を三つ落とされても平然と生存し尻尾の先端のトゲ付き鉄球のようなコブで反撃してくる。ドラゴン種と植物の特徴が相乗効果を発揮しているのか自己再生能力も非常に高く、栄養さえあれば一週間で全快できる。
常に空中に浮いているため歩くための脚はほぼ退化しているが、安全な場所では栄養を吸収するための『
ドラゴン種故に頭はいいものの性格は非常に凶悪で気に入らないものがあれば容赦なく攻撃し、記録によれば小さな村を一晩で焼き払ったとか。だが一度忠誠を誓えばこれ以上ないくらいに頼もしい仲間になるだろう。
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ネギドラゴの翼は某バル●ァルクみたいなものだと思ってください。
名前はネギ+ギドラ+ドラゴンを安直に足したものです。我ながらアホらしくバカ強く作れたかなって自画自賛してます。
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