ネコと和解せよ
とある大学の食堂にて。二人の男性生徒が食事をしながら騒がしく議論しあっている。と言っても騒がしいのは一方の生徒でもう一方の生徒は非常に冷めた雰囲気でカレーをかっ込んでいる。
「いやだからさ、こうなるとリアモンとの共存が大事になっていく世の中になるわけ。その先にある経済効果や科学や化学、様々な技術分野の発展を鑑みればもうやるっきゃないっしょ?」
「ボクはよくリアモンのこと知らないけど、現実でも動物の生態を応用する技術は出てきても費用や大人の事情から実用化までは至ってない、それが答え。さらに動物よりもリアモンの方が圧倒的に被害が出やすいでしょ? 駆除一択」
天ぷらそばを啜りながら熱弁する痩せぎすの男は日暮、そしてカレーを福神漬けマシマシで食べているちょっとポッチャリしている男が的場だ。今日も大学の食堂は大入りで騒がしいが、漏れ聞こえる会話のほとんどがリアモン関係の話だ。食堂の隅では数人の学生が集まって、持ち運び出来るタイプのゲーム機でリアモンをプレイしているようだ。なお会話の内容は『このリアモンが現れた際にどういった対処法をするべきか』。
「カッー! わかってねぇなぁ。リアモンの強さはピンキリでも大体ガチれば一匹で軍の小隊くらいなら蹴散らせるんだぞ? それに、有事の際の対処法を探すって意味でもリアモン研究は急務なワケ。頭っから否定しているとマージで痛い目見るぞ?」
「血が出るなら殺せる」
「お前そんなシュワちゃんみたいな……言っとくが物理攻撃が通用しないヤツもいるからな? それにリアモンなんて何百種類もいるんだぞ?」
「興味ないね」
「まーたそんな雲さんみたいなこと言う……ともかく、この大学でも近い内に教科書に載るような学業事変が起こるだろうさ、的場も覚悟しといたほうがいいぞ? そういうワケでお前もリアモンについて知っとけ、俺のソフト貸してやるから……」
「リアモンなんてそんじょそこらに出てくるようなものでもないから大丈夫だって」
「お、フラグか?」
「違う」
そう日暮に押し切られ、ケースに入ったリアモンのゲームソフトを数本渡される。そうしている内に講義の時間になり日暮と別れ、それぞれの教室へと向かう。
「(結局人間が思い描くような理想的な共存共栄なんてありえないよなぁ。ま、ボクには関係ないか)」
それなりに真面目に授業を受け、塾のバイトをこなし帰る。その時彼は自分がガッツリこのリアモンというブッとんだ生物とガッツリ関わりあうことになろうとは予想もしなかったのである。
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