<KAC2024お題作品>不思議なメガネ

口羽龍

不思議なメガネ

 宏(ひろし)は下校途中だ。春休みが近くなり、学校が半ドンになっていた。飼える時間が多い分、遊べる時間が多い。それはいい事だ。日頃の疲れがたまっている分、家でゆっくりしつつ、テレビゲームをしたり、勉強をしたりして、暇な時間をつぶそう。


「今日も疲れたなー」


 宏は楽しそうな表情だ。もうすぐ春休み、外で遊んだり、テレビゲームをしつつ、次の学年に向けた準備をしよう。


 と、宏はあるメガネが道端に落ちているのが気になった。誰かが落としたんだろうか?だが、普通はケースに入れているはずだ。誰かが誤って落としたんだろうか?


「あれっ!? このメガネは何だろう」


 宏は気になって、辺りを見渡した。だが、辺りには誰もいない。どうしよう。


「まぁいいや。持って帰ろう」


 宏は持って帰る事にした。宏はメガネを手に取った。そのメガネは縁が白い。


 宏は家に向かう道を歩いていた。道は閑散としている。これが普通の昼下がりの光景だろうか? 静かだけど、そんな時こそ誰かが突然襲い掛かってきそうで、怖いな。宏は周りを気にしながら帰り道を歩いた。


 宏は家の前にやって来た。宏の家は2階建ての一軒家で、白い外観だ。


「ただいまー」

「おかえりー」


 宏が家に入ると、母の声がした。父は出勤していて、夕方まで帰ってこない。母は専業主婦で、買い物に行っている間以外はだいたいいる。


 宏はすぐに2階にある自分の部屋に向かった。部屋にはプロ野球選手のポスターもある。宏は野球が好きなようだ。


 宏はランドセルを下ろすと、ランドセルの中から問題のメガネを出した。宏は首をかしげた。


「うーん・・・」


 このメガネは何だろう。こんなの見た事がない。


「本当に何だろう、このメガネ」


 と、宏は思った。このメガネを付けてみよう。少しぐらいは賢そうに見えて、面白そうだから。


「つけてみよう」


 宏はメガネを付けてみた。すると、そこには吹き出しのような白い物がいる。宏は驚いた。おばけだ。


「えっ!? お、おばけ?」

「ねぇねぇ」


 突然、何かが話しかけてきた。まさか、おばけだろうか? 宏は振り向いた。そこにいるのはおばけだ。まさか、おばけに話しかけられるとは。


「えっ、僕がいるの、わかるの?」


 宏は動揺している。僕が見えるんだろうか?


「うん。見えてるでしょ?」

「うん」


 宏はうなずいた。おばけはほっとした。やっぱり見えているようだ。宏はびくびくしている。目の前にいるのはおばけだ。何をされるかわからない。


「暇だし、何か遊ぶ?」


 おばけは暇なようで、何かをして遊びたいようだ。


「うーん・・・」


 宏は悩んだ。遊ぶって言っても、いいのがないな。どうしよう。


「遊ぶの? 僕も遊ぶ!」


 その声を聞いて、他のおばけもやって来た。まさか、こんなに多くのおばけがやってくるとは。宏は少し嬉しくなった。


「えっ・・・」

「いいじゃない!」


 宏は立ち上がり、引き出しの中からトランプカードを出した。遊ぶ物と言ったら、これぐらいしか持っていない。これでもおばけは満足するだろうか?


「うーん、じゃあ、トランプ持ってるなら、ババ抜きとかどう?」

「いいよー」


 おばけはババ抜きを知っているようだ。宏はほっとした。トランプをやろうと言われて、ルールを知らないと言われた時、どう教えようかわからない。


 宏はおばけとババ抜きを始めた。最初は1匹のおばけがジョーカーを持っている。ジョーカーを最後まで持っている人が負けだ。


 宏とババ抜きで集まった3匹のおばけは順にカードを抜いていく。同じ数字がそろえばそのカードを捨てていく。


「お前、ババ持ってるだろ?」


 1匹のおばけは、宏が持っていると疑っているようだ。だが、宏はジョーカーを持っていない。


「持ってないってば」


 だが、宏は否定する。本当に持っていないのに、何度も言われる。


「さぁ、誰だろう」


 やっていくうちに、1匹のおばけの持っているカードがなくなった。上がりだ。


「よし、上がったー!」


 次に上がったのは宏だ。2匹のおばけによる一騎打ちが始まった。どちらかにジョーカーがある。


「僕との一騎打ちだ」


 1匹が1枚、もう1匹が2枚だ。2枚のうち、1枚がジョーカーだ。


「さぁ、どっちかな? これだ!」


 おばけは、右のカードを選択した。だが、それはジョーカーだ。ジョーカーが相手の元に移った。


「くそっ、ババだ」


 おばけは悔しがった。次に、別のおばけがカードを引いた。それはジョーカーじゃなくて、ペアができて上がった。


「あっがりー!」

「くそっ、負けた・・・」


 最後にジョーカーを持っていたおばけは悔しがった。


「宏ー、ごはんよー」


 突然、母の声が聞こえた。お昼ごはんができたようだ。1階のダイニングに行かなければ。


「はーい!」


 宏はメガネを外し、ダイニングに向かった。おばけはその様子をじっと見ている。早く戻ってこないかな? 戻ってきたら、また遊びたいな。


 しばらくして、宏が戻ってきた。宏はリビングでくつろいでから、部屋に戻ってきた。


「戻って来たよー」


 宏は勉強机に座った。午後からは勉強をするようだ。


「さてと、勉強をしないと」

「勉強をするの?」


 宏は振り向いた。そこには、おばけがいる。まさか、遊ぼうというんだろうか? だが、これから勉強をする。構ってはいけない。


「遊びたいの?」

「いや、どっちでも。だったら、手伝ってやろうか?」


 宏は驚いた。まさか、勉強を手伝ってくれるとは。このおばけは頭がいいんだろうか?


「うん。いいけど」


 宏は勉強を始めた。だが、宏は決して頭が良くない。勉強がなかなか進まない。どうしよう。すぐに宏は頭を抱えた。


「ここはこうやるの」


 だが、おばけは問題なさそうに解いていく。このおばけは天才だな。


「ふーん。頭いいんだね」

「ありがとう」


 おばけは笑みを浮かべた。このメガネには、おばけが見えるようになるようだ。もっと付けて、遊んでみようかな?

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