メイビーもっと、闇であれよ
DJ家系ラーメン
第1話 ドンキのメイド服じゃないみたい
私は美味しいご飯とお酒が大好きなただのOL…だった。つい数分前まで。
「何これ…」
私が今手を通しているのはフリルの付いたメイド服だ。ドンキに売っているようなテラテラした素材でもないし、胸の開きも一切ない。どこにもエロさを感じない。
落ち着け…落ち着け…ジャケットのポッケに入れていたはずのタバコを探ろうとするもジャケットなど存在する事を知る。空振りした手はスカートの膨らみをなぞった。
「ん…?んん?」
太ももにゴツゴツとした鉄の重みを感じてスカートを捲るとレッグホルダーに拳銃が一丁。どうやらこの体は普通のメイドでは無いらしい。
いったん説明してもいい?私は美味しいご飯とお酒が大好きなただのOLだった。
会社の後輩と食事をした後夜道を歩いていたところ信号無視のトラックが突っ込んでくるのが見えた。とっさに後輩を突き飛ばし助けたものの目覚めた記憶は無い。車のハイビームと後輩のやけに無表情な冷たい目が最後に見た光景だ。…私何か彼に嫌われるような事したっけ…?普通びっくりするとか悲しむとかそんなリアクションでしょ…いたた。でもこれ以上考えると頭痛がする。
私はレッグホルダーの拳銃を気にしないように気にしないように、冷えたお屋敷の廊下を歩く。何をすればいいかも、どこへ帰ればいいかもわからないがとにかく眠く疲れている。そう、私は仕事を終へて帰宅途中、今日は華の金曜日(死語)のはずだったのだ。月明かりが差し込む窓からちらりと中庭を覗くと噴水の上の時計が目に入った。
「11時か…」
お屋敷はずいぶんと広くいくつも部屋があるようだ。試しに一番近くの扉に耳を当ててみると…
“あッ…んんっ”
“どう?気持ちい…?”
“意地悪しないでッリオ様…”
どうやらお楽しみ中のようだ。
ゆっくりと扉から離れどこか他の、せめてベンチでもいいから横になれる場所を探そうと足を後ろに引く…
“カツン”
しまった。革靴底が大理石の床に当たり音を立ててしまったようだ。
“…”
扉の中が一瞬シン、とする。まずいまずいまずい…ここは早く退散しなければ
「やぁ」
「ひっ」
扉から現れた男は私の頭から靴まで一周見ると笑顔でこういった。
「君も混ざりにきたんだろ?」
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