第4話
衝撃的な発言に驚いたが別に俺がそうというわけではないだろう、他にも勇者を支えるジョブがあってもう見つかってるとかそんなところだろう。……まさかジョブなしで勇者パーティに入れないだろ、だいたい何をするんだ……?荷物持ちとか?逆に俺が戦闘担当とかか?まぁそれならあるかもしれんか……一応、一応確認で聞いておくぞ。
「あの……」
「どうされましたか、お連れ様」
「俺が勇者パーティーってわけではないんですよね……?」
「え、勇者パーティーですよね?」
ちらりとエリスを見る一番偉そうな神官、エリスはそっと目をそらし抱きついていた腕を強く締めてくる、だから痛いって……。
「(コクコク)」
「勇者パーティーだそうですが……」
「あの……俺ジョブが……ないんですけど……」
「私も別に神官のジョブがあるから神官をやってるわけではありませんし……」
「勇者パーティーってジョブなしでも入れるんですか……?」
「特に規定はなかったかと……正直わかりませんが……王城に伝えてはおきますね……」
じゃ、じゃあまだ魔王を倒すみたいな活躍の場は残ってるかもしれないな……。そうなると勇者が何なのかよくわからなくなるが……。露払い位はできるかもしれないし……雑魚狩りとか……。
「さっき……言ったよね……」
「なんのこと?」
「旅についてきてって……」
そうだっけ……記憶にないんだけど……。放心してる時に適当な返事したかもしれないな……。
「うんいいよって言った……」
確かに生返事でそんなこと言ったかもしれない……なんか考えてたから適当に返事したかもしれない……。
考えよう、勇者じゃなくても勇者と同じような仕事はできるだろう、そのために鍛えてきたんじゃないか!勇者しかとどめを刺せないとかだったらどうするか……?エリスって魔法は使えたよな?なんか聖剣とかじゃないとダメだったりするか?
「あの……」
「あ、すみません……とりあえずは王城の返答待ちで、俺は勇者パーティということで……」
「ありがとうございます!さっそくですが!」
あ、面倒事押し付けられそう……そのへんの魔物狩ってきてとか言われそう。
「お二人のお名前を教えていただきたいのですが……」
「クロです」
「…………エリス…………です……」
「勇者エリス様にクロ様ですね、私はこの地区を任されている大司教のマクイラと申します。パレードまではごゆっくりお過ごし下さい」
エリス、名前すら名乗ってなかったのか……。放心してた俺が言えたことではないんだが……。
「あの……魔法の本とかはありますか?」
「はい、書庫にいくつかございます」
「転移魔法の本もありますか?」
「ええ、もちろんございます。ご興味が?」
「はい!パレードまでの間に勉強したいのでぜひ読みたいのですが……」
「わかりました、書庫にご案内します。コツを掴めばすぐですよ」
話が早いのは助かるな……問題は覚えられるかどうかなんだが……。コツか……なんとか掴みたいな。
……なんでエリスは俺をじっと見てるんだ?
書庫に到着するとマクイラ大司教は鍵は開けておきますと言って去っていった。さて、これから魔法を次々覚えていくぞ!覚えられるかまではわかんないけど。
「クロ君……転移魔法覚えたかったの……?」
「ああ!もちろんだよ!便利じゃないか!」
「私使えるよ……?」
嘘だろ……?なんで先に言ってくれなか……聞いたこともないしな、そりゃあそうだな。エリスが自分から言うタイプじゃないのはこの5年でよくわかってるし……。そうか……そんな魔法を覚える方が近道だったのかもしれないな……今更遅いけど。大人には聞いてたけどたしかに同世代には聞いたことなかった……俺のミスだな。
「教えてくれるか?」
「うんっ!いいよっ!どんどん聞いてね!」
思えばエリスからなにか教わったことってなかったな、街に来て店を回ってこの店がいいよとかそれくらいだな。にしても、こんな声出せるんだなってくらい珍しく大きい声だな。そう考えると街を回ってる時もこんな感じだったか。
「まずどうする?」
「魔力をためて、こう!」
すっと消えるエリス、腕が軽くなる俺。俺一人となった書庫には誰の気配もなく、ただ無音だけがあった。
じゃあ……転移魔法の本を探そうか。多分エリスって教えるのうまくないと思うから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます