陰キャ女勇者(幼馴染)とジョブなしの俺

@masata1970

第1話

 異世界転生してからはや10年!とうとうこの日がやって来たぞ!どれほどこの日を待ちわびたことだろうか……。


 神託、それはこの世界でジョブを授かるための儀式。教義的には神の決めた役職を与えられる大事な日。ジョブは絶対、農家であっても勇者になるしスラム街の孤児でも聖女になる。まぁ大抵はジョブなしなんだけどね……。


 俺はなぜ異世界転生したのか?なぜ今日まで剣と魔法を技を磨いてきたのか?村の周りで魔物を狩り続けたのはなんのためだ?能力を上げて少しでも勇者のジョブを得やすくするためじゃないか!これで得やすくなるのかはわからないがやらないよりはいいだろう。

 全てはこの日この時、勇者の神託をされるためだ!


「勇者の神託です!勇者です!神託が下りました!間違いありません!」


 わざわざ数日かけてやってきた街の大聖堂、広い聖堂内部には大勢の人が集まり、そこには歓喜の声が満ち溢れている。これで魔物の脅威から開放される、魔王を倒せば平和がやってくる、勇者様お願いします。見学者たちは口々に未来への理想を連ね、聖職者たちは皆涙を流し勇者の誕生を祝った。


「え、あ……はいぃ……」


 そう、俺ではない勇者の誕生を、俺と一緒に街に来た友達を、俺の幼馴染の陰キャちゃんを。


 俺?ジョブなし、ノージョブです。


 え?俺なんのために異世界転生したの?モブ?幼馴染が旅立って帰ってきたら寝取られてるのを見るやつ?

 帰っていいですか……?もう冒険者とかやります。

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