第34話 骨折

カイが小指を骨折した。

「めっちゃ風が強くて、立て看板が倒れそうになったんで掴んだら、小指が折れてた」

看板くらい倒れたって、、、そう言いそうになって言葉を止めた。

「通りかかったベビーカーに当たらなくて良かった」


今までの43年間の人生を思いっきり反省しました。

あなたの十分の一にも及ばないかもしれませんが、人への思いやりを発揮してみようと思います。

まずは、私はあなたにもっと優しくします。


「ねぇ、シャンプー手伝って~」

「ほら、洋服にかかるから、もっと頭を下げてよ」

「これ以上、下がんない、首痛い、どうせだから、一緒に入ればいいじゃん」

「まさか、、、バカじゃないの」


「ゆりっち、もう寝ちゃったの」

「なに、指痛いの?」

「上書きしたい・・指痛いからゆりっちが上」

「やたら、そのフレーズ使うな」


「あっ、痛い、こっちから抱けない、右側に来て」

「だから治るまで、お預けだよ」

「ヤダ、心まで折れる」

「勝手に折れろ」

「ひでぇ~泣く」


「みかんが食べたい」

「みかんの皮くらい剥けるでしょ」

「だって、こんな時くらいしか、アーーーンしてもらえないしょ」

「・・・」


「ねぇ、ゆりっち」

「こんどは何んだ」

「ただ、呼んでみただけ」

「殴る、絶対なぐる」


「韓国式の垢すり行ったら、驚くほど垢が出てやばかった。

やっぱ、背中擦りっこしないとダメだよ」

「お断りします」


「ねぇ、お風呂が明るすぎるから一緒に入るの恥ずかしいんでしょ。名案が浮かんだんだよ。キッチンの電気つけて、お風呂場の電気を消せばいいじゃん。ガラスだからちょうどイイ明かり入るよ、やってみるから呼んだら来て」

「ねえ、全然大丈夫だよ、薄っすら明るいくらい、早く来て~」

聞こえないふりをして、ごめんなさい。

そのアイデアは検証済みです。あなたが来る前は、その体(てい)で入ってました。


以上、カイの甘えん坊語録でした。


人に優しくするのって難しいです。

これでも、精一杯頑張りました。


身も心も疲労困憊です。<レベル55>


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