第3話 だからお願い、続けて?

「うん、澪ちゃん久しぶり。でも今度からは開けた時に突っ込んでくるのやめてね?」


これが相当痛い。


「わかった!」


うん、物わかりよくて助かる〜。


「でもなんで急に今日来たの?」


あ、そうだった。

私は久しぶりの再会を楽しみにきたわけじゃないんだ。


「えーとね、実は澪ちゃんに頼み事があってきたんだ」

「え!鈴香ちゃんが頼み事なんて珍しい!どうしたの?」

「あのね、お兄ちゃんの、海斗のことなんだけどね、今日高校で部活動説明会があってね、その後一緒に帰ってきたんだけど、その時に部活続けるよね?って聞いてみたんだ」


私は澪ちゃんに状況を説明した。


「でね、それに対して海斗が続けないって言ったの!で、私が続けてほしいから続けさせるために頼みに来たっていう話なんだけど」

「うん!わかった!」

「ありがとう」


はぁこれでどうにかなる気がする。

え?なんでこんなすんなり手伝ってもらえるかって?そんなの私の優しさにきまって、ゴホンッ澪ちゃんがバスケ部の時の海斗のファンだからだよ!

だから行けると思ったんだぁ。

ちなみに結衣ちゃんもだけど、たぶん澪ちゃんの方がファン度は高いんじゃないかな。前スマホのアルバム見せてもらった時に海斗のバスケ姿だけで軽く500枚くらいいってたからね。ちなみに結衣ちゃんは300枚くらいだったよ。


「よっし、じゃあ海斗は部屋で待たせてるからこのまま行っちゃおっか?」

「うん!さっさとお兄ちゃんを部活入る気にさせよう!」


2人で意気揚々と部屋を出て海斗の元へ向かった。


〜海斗視点〜


うん、なんなんだあいつは俺のこと部屋に押し込んだと思いきや、かれこれ1時間近く待たされてるんだが?


バンッ


「海斗、入るよー」

「だからドアを勢いよく開けんなって!あと入ってきてから確認を取るな!」

「もう、細かいなぁ」

「ところで、もう話、初めていいか?」

「うんいいよ?」

「まず、なぜお前は俺が続けないって言ったら黙り込んだ?」

「それは、、、海斗に続けてほしいから」


は?今こいつなんつった?

続けてほしい?

俺のあの中学時代を見てか?


「お前、俺の中学時代見てただろ?」

「うん、ずっとベンチにいた」

「そうだろ?じゃあなんでここまで下手くそって言われた俺に続けてほしいんだ?」


そう、何を隠そう、俺は中学時代先輩と監督から下手くそと言われ続けていた。

まあ、その通りなんだけど。


「海斗はうまいはずだもん」

「俺は下手だ」

「違うもん!」

「違くない!お前俺のプレイ見たことないだろ?」

「見たことならあるもん!」


へ?今こいつ見たことあるって言った?一体どこで?俺は入部初日の練習で下手くそって言われてからできるだけ見られないようにしてたんだけど?


「海斗は上手だもん!」

「いや、ちょっと待て。まずお前はどこで見た?」

「あ、それなら私が見せた」

「ああ、なんだ、澪が見せたのか。って、え?なんで澪がここにいる?」


知らない間に澪がいて心底ビビった。


「ああ、お兄ちゃんが部活続けないって言ってるって聞いて」

「鈴香、お前話したな?」

「だってしょうがないじゃん!続けてほしいんだもん!」

「いやだって俺は下手くそだぞ?」

「違うもんそれは先輩と監督が言ってただけだもん!」

「だからそういう評価を受けたからこそ辞めようとしてんだよ?」

「海斗は、そうやって周りの評価に流されるの?」

「そりゃ、客観的な評価が一番だろ?」

「「じゃあ、私たちが海斗は上手だって言うよ!」」


うん、なんかトンデモ理論出してきたな。

まあ理論上あってはいるんだけど。


「「だからお願い、「海斗」「お兄ちゃん」、続けて?」」


どうしよう、こんな説得されるとは思わなかった。






3話目です!連投です!

なんかちょっと多いような気がしますけどごめんなさい!

もしかしたらまだ今日更新するかもしれないし、明日は確実に更新するので、待っててください!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る