記憶の脆さ

時無ロロ

記憶の脆さ

 賑やかな都会でもない、美しい自然が多く残る田舎でもない。どちらともつかない地元。住めば都とはよく言ったもので、こんな寂れた土地でも、通勤中に視界に入る景色には愛着が湧く。


 なんて思っていたのだが、ひとたび取り壊し工事が始まると、そこにあった建物は何だったのか思い出せない。


 それと同じだろう。交際していた彼の顔を脳に描くことが出来ない。二年くらいは付き合っていたし、愛情がなかった訳ではない、はずなのに。


 自分の冷たさに呆れて、工事現場を見ないようにしながらその場を後にした。

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記憶の脆さ 時無ロロ @tokimuroro

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