マイプレゼント

一の八

マイプレゼント




誕生日会というものが苦手だった。

誰かを祝う事は、嫌いじゃない。

けども、ある一つの事が僕を悩ませていた。


それは、プレゼントだ。

誕生日会なのだから、それがあるのが当たり前なんだろうけど…


みんなは、お母さんに頼んだりして、それを用意していた。


父にそれを言うと、少し嫌な顔をする。

だからこそ、なんだかそれを言い出すのもいやになった。


“だから、何か理由をつけて、行かないようにしておこう…”

それが、その頃の僕が思いつく限りの方法だった。



ある日、

「今度、僕の誕生日会やるからきてよ!」


「…あっ……うん。」


気持ちは、あまりに乗り切れていなかった。


プレゼントか…

どうしよう…



そんな時、その友達のお母さんが一緒にプレゼントを買いに行こう!と誘ってくれた。


やはり、その時の僕は、なんだか気持ちとしては行けないなぁと思っていた。


「そいえば、いま遊戯王カードってのが流行ってるだよね?」

お母さんに尋ねられた。


「うん!そうだよ。」


他の友達は、どんなプレゼント持ってくるのかな…


「はい、じゃあこれね。」

えっ…


あっ

「あっ…うん。」


「これ、私が買ったって言っちゃダメだからね。」


「えっ?でも、これ」

「いいの!内緒だよ。」


僕は、手渡された遊戯王カードを持って

その子の誕生日会に行く事が出来た。


「あの…これ…」

その子に手渡すと、



「わぁ!ありがとう!これ遊戯王カードじゃん!」

その子は、とても嬉しそうにしていた。


その子の母親がくれた優しさが僕にとってのかけがえのない『プレゼント』になった。

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